昭和37年当時「プロレスはショー」という認識 座談会②


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宇野雪村「手本がないと書けない作者の書展」

その1に続き、昭和37年発行の五禾書房発行「月刊 書道」日展特集より抜粋して行きます。

安藤石、宇野雪村、江川吟舟、金子鴎亭、南不乗、真田但馬、桑原喬林子 がメンバーです。

(記事全文は最後に添付するので右クリックで保存して拡大すれば読みやすいと思います。)

③枚目の後半から④枚目にかけて南不乗氏

「(習い始めて)1年か2年で、手本を書いてやってすっかり直さなければぜんぜん書けない、

自分で書いたらなんにもできないというのもが、(新人入選に)相当数おるんじゃないか…。」

「10年選手よりも(新人入選の)それが作品として優れているということには絶対にならない。」

続いて、宇野雪村氏

「(手本ありの新人入選)その程度の出品者のを陳列する展覧会と考えればいいでしょう…。(笑)」

宇野雪村「日展は一種のサロンでありショー」

真田但馬氏「(日展5科の書は)綜合の展覧会の、最も権威あるものとしておきたいね。

日展というものを、(芸能人など呼んで)大衆的にするということは、程度の低いものに

格下げしていくということになる。」

「1年、2年やったお嬢さま芸、奥さま芸というようなものはシャットアウトして、

そういう人は社中展でやると。」

南氏「まあ一種の社交の場と思えば…。(略)入場料150円取って沢山の人を入れる。

そういう点では、営業方針として実にうまい。」

宇野氏「一種のサロンであり、ショーだと。国民にアッピールする娯楽機関だと思えばそれでいいし、

なるべくそれにたくさんの人が参加する…。」

だんだんとやさぐれて来ました(笑)

私も日展の話を聞くと「“サロン日展”への入会審査が“日展”」という印象です。

とはいえ、日本の最高峰であってほしい(昭和37年時点では違う)という願いも感じます。

宇野雪村「金を持っている人が有利」

江川吟舟氏「埼玉県に住んでいるんだけど、入選すると大変なんですよ。鬼の首でも取ったように。」

南氏「当番審査員になったときは、自分のところの門下の作品は日展に出品させないような

ことになれば、公平な審査ができるんです。」

安藤氏「現実としてはできない現状だ…。」

宇野氏「今のように金が動けば、結局当番審査員の社中が出さなくても同じですよ…。(略)

安藤さんみたいに清廉潔白ーわれわれだってそうだったけれども、清廉潔白でやってきた

人もありますが、それは限られた人で、最近ではほとんどといってもいいくらい、金を持った人が

有利だという形式になってきているんです。そういうような状態で進んでいくとすれば、

いままでの日展という観念はこわされるような…。」

地方では日展に入ると街中でお祝いしたという話を聞きましたが、本当かもしれませんね。

安藤石氏「日展はプロレス以下のショー」

ようやく表題にもなっている「プロレス」の話が出てきます。

桑原氏「基本的に日本の最高の展覧会であるというような考え方をせずに、ショーであると、

そういう考え方でいけば、一応いまの姿もわかるんだけども、(略)少なくとも

同じショーであっても、いわゆるハイクラスのショーでありたい…。」

安藤氏「プロレスまで行かない…。」

桑原氏「そういうところですね。」

ここまで読んできた方は、旧日展は第1回からきちんとした審査は行われてこなかったことは

ご理解いただけているとは思います。

それより、昭和37年(1963年)の時点で、プロレスがショーということを世間が認知していた

ことの方が驚きです(笑)

大相撲出身の力道山がプロレス転向したのも1951年以降です。

1963年12月に暴力団との喧嘩が原因の怪我で死亡しますが、この頃の力道山は、

母国で凱旋プロレスを行ったり、現在でも歴代視聴率4位となるWWA世界ヘビー級選手権

ザ・デストロイヤー戦を行っており、プロレスブーム真っ只中。

私も「この頃の大人は、ブック(試合のストーリー)を知ってて盛り上がったのかな?」

と思っておりましたが、きっちり世間ではショーであるとわかっていたようですね。

南不乗氏「採点発表すると審査員のなり手がない」

南氏「ある程度良識のある審査を期待するということは、採点の発表をするしかないんだ。

だけど、それを最初に言ってしまえば、審査員になり手がなくなっちゃうと思うんです。

採点の発表を出されると、まあなくなっちゃう、驚いて、妙味もなくなるからね。

まあ現状では、採点の全部を発表するということになれば、いくらか是正されると

思うんですよ…自分の門下ばかり票を入れたものの権威というものが疑われるから、

そういう点は是正されると思うんです…。」

どの審査員が誰に点数を入れたのか公開すると、不正は是正されると提案しています。

先生方はご理解されていながらも、現在まで脈々と続けてしまっていたわけですね。

その3に続く。

 

五禾書房発行「月刊 書道」日展④

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