現在価値で院賞1億、芸術員会員2億必要 座談会③


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真田但馬氏「院賞1000万、芸術院会員2000万円必要」

その2からの続きです(その1)。

最終⑤(原文は最後)で、昨今疑惑になった日展での具体的な金額が飛び出します。

真田氏「何をやっても金は掛かるんじゃないのかね。その点は書道だけを攻めるわけに

いかんと思うんだ。(略)適当な社会的地位につけば、立派な家に住まなければならない。

そこで金儲けをしなければならないと思って、おおいにどうじょうしているんですけど

そうすると今度は、出品者のほうが大いに負担が掛かる。出品者はまたその弟子に負担を

掛けるということで、小学校の子供にまで、500とか1000円もらって平気でいる

地方があるんですね…。」

安藤氏「ベラボウに掛けなきゃいいじゃないの…。」

真田氏「それは、院賞もろうには1000万円芸術院会員になるには2000万円ということが

はっきりすれば、たいがいの人は諦めてしまう…。」

宇野氏「日展でも、新人選となると金が掛かる…。」

ここに出てきた院賞とは、“日本芸術院賞”のことでしょう。

恩賜賞と共に皇室の下賜金で賄われており、受賞者には賞状・賞牌・賞金が贈呈される。 授賞式は、天皇・皇后の行幸啓を仰ぎ、毎年6月に挙行される。

日本芸術院賞を受けると、その多くの者は後日、日本芸術院会員に推される。ただし日本芸術院会員は終身制で定員120と定められているため、日本芸術院賞受賞者全員が会員になれるとは限らない。(Wikiより)

実は、座談会のメンバーで、昭和37年(1963年)以降に院賞を受賞される方がいます(笑)

1967年 金子鴎亭氏です。

お気付きですか?未だに金子鴎亭氏の発言がありません(ちなみに最後までありません)。

私も金子氏のしたたかさを学びたいものです(金子氏は芸術員会員にはなれませんでした)。

さて、この当時、珈琲1杯50円程度、⑤の記事の左半面にも書道専門講座の値段が

各200円と書いていることからも、だいたい現在の1/10程度だったと思われます。

つまり、院賞1億円、芸術員会員2億円という値段がついていたようです。

金子鴎亭氏がこの会話をどのように聞いていたのか気になります。

江川吟舟氏「日展は表装展みたいだな」

南氏「金の問題が出たからついでにいえば、だんだん表具に金が掛かるようになった。

(略)(上位入賞は)おそらく芸術院会員ぐらいの表具がずらっと列んでいる。

1万2万じゃないんですよ、だいたい10万円の表具がズラリと列んでいる。」

真田氏「落っこちたのに3,4万かかっている。(下の賞でも)だいたい2,3万は

かかっているんですよ。表装をだんだん競うようになった。特選をねろう人は

だいたい5万円だ。」

桑原氏「馬子にも衣装か…。」

江川氏「表装展みたいだな、ヘェ…。」

最終の⑤ページまで読んだ皆さんは、ようやく気付かれたと思います。

写真が載っていますが、桑原喬林子氏は男性です(笑)

近代詩文書は日展 第4回(昭和36年)から

桑原氏「去年(昭和36年の第4回)日展に新風を吹き込むという意味で、近代詩文の作家を起用し、

つまり、日展に近代詩文というものを、調和体という名称で前からあったんで、事新しく

入ったわけじゃないけども、事実問題としては、やはり去年、飯島、金子両氏が審査員になって、

いままでの調和体と違った意味の、いわゆる近代詩文を日展に入れたと思うんです。

(略)それがたまたま去年の入選率に比べると半減している。

(略)ちょっとおかしいと思うんだが…南さん…。」

座談会本文を読めばわかるのですが、金子氏ら近代詩文の審査員が入った第4回から、

彼らが審査員にならなかった今回の第5回を比べると、近代詩文の入選が激減したので

それは、おかしいんじゃないのかなと言っているようです。

「日展は国内最高峰の芸術サロン」だな

ネットでの日展批判コメントに「誰でも金を払えば賞が取れるのか。」という表現を

見るのですが、はっきり「それはない」と否定しておきますね。

日展は、受験で例えると東大合格者の中から、お金のある人が入会する最高位のサロン。

入会資格の段階で、普通の人はフルイに掛けられます。

その資格がある人の中で、お金に余裕がある人や弟子からお金を集められる人、

または、それだけ投資しても回収できる見込みのある人がサロンに入会希望するのです。

もちろん、安藤氏のように挨拶まわりをせずとも、力があれば入選することだってね。

(現実的には無理と聞いていますが…どうなんでしょうね。)

記事の中では1年、2年のアマチュアの作品が…という指摘もありましたが、

現在は、一般の方が見て優劣がわかるような作品レベルは入選していません。

一応、日展は、毎日展や読売展の審査員ですら、審査される側になることがあります。

3回にわたってまとめてみましたが、割りと大変でした。

昭和32年(1957年)第26国会衆議院文教委員会で、衆議員の高津正道氏に日本芸術院第一部と

日展の結びつきを指摘され、日展は在野の団体となった経緯があるにもかかわらず、

改善されないまま、朝日新聞に指摘され、2014年に新日展として再出発しているわけです。

日展だけが全てではないので、純粋に書を楽しみたいという人は、在野で好きな先生を

師事したり、好きな作品の臨書したりするので十分楽しめるかと思います。

もし、才能があれば、勝手に伸びますからね。

才能がなくても、続ければ、続けてない人より絶対に上手くなる点も書道のいいところです。

書道デフレ 超絶な供給過剰!需要不足の解消を!

現在、日本は御存知の通りデフレです。

デフレは「供給>需要」を是正しないと改善しません(その差をデフレギャップと言います)。

デフレを解消する方法は、供給を減らすか、需要を供給以上にするしか方法がありません。

今、日本の美術館では書展ばかりやっています。つまり、供給過剰のデフレ状態。

書展後の作品は、ほぼ二度と飾られることはなく、捨てられる場合もあると聞きます。

それなのに、大手メディアや国などは書展を後援し、補助金を出し、供給を促します。

一方で、需要となる美術品としての書道作品の市場作りには、誰もお金を出しません。

極論、供給喚起を促す書展への補助金や後援の資金を需要喚起にまわして欲しいです。

需要があれば供給側が勝手に工夫してより評価されるものを供給するようになります。

現在の書道が、江戸時代のような情報技術ではない以上、需要拡大こそ縮小する市場や

守るべき伝統を維持するために必要なことです。

もちろん私もそういう作品を作れるように努力をしていますが

国や公共団体、大手企業がCSRの一環としてでも、取り組んでいただけたらと思います。

私が協力できることがあるなら、呼んでください!

3回に渡って、ご精読ありがとうございました!

 

五禾書房発行「月刊 書道」日展⑤

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