「とめはねはらい」なんて不要! by文化庁①

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うどよしの和様は「とめ、はね、はらい」が少ない

私の和様は「とめ、はね、はらいが少ない」ことが特徴です。
これは、江戸時代に和様の筆記具「筆」→現在「ペン」という変化を、道具の進化と捉え、
毛筆の和様は明治に衰退したと考えず、ペン字に受け継がれ、変化してきたと考えたからです。
こんなことを考えるのは私くらいと思っていたら、文化庁で本当に検討されているようです。
2016/02/12追記 なんだか文化庁で進んでいるようです。

文化庁の文化審議会漢字小委員会は9日、漢字の手書き文字について、「はねる」「とめる」など細かい違いで正誤はなく、多様な漢字の形が認められていることを説明する指針案をまとめた。

今春までに指針の確定版を作成して文化庁ホームページに掲載し、書籍化も予定している。

学校のテストなどでは、指導した字形以外の字形であっても、柔軟に評価するよう求めている。

2016/02/10 読売新聞

筆字の理想をペンに求めるのは難しい

楷書には、毛筆特有の装飾「とめ、はね、はらい」などがあります。
最近は教養系テレビ番組で「美文字」という単語で「美しい日本語の筆記」を促しています。
一方で、私たちは筆ではなくペンで筆記をするため「とめ、はね、はらい」などの装飾を排除して筆記しています。
現在、筆とペンでは違う道具(筆記具)なのに、同じデザインを当てはめるのは無理が生じると思います。

文化審議会「とめ、はね、はらいにこだわらない」

現在、文化庁の文化審議委員会で、印字文字の普及や手書き離れ懸念により、実態に合った筆記を認めようという流れをご存じですか?
文化審議会国語分科会漢字小委員会(第16回)議事次第 も参考にしながら書いていきます。
印刷文字や手書きで、日本人は以下の文字を同じ漢字「学」として認識しています。

image7これを同じ漢字であると理解できる理由は、私たちは「字体」を知っているからです。
文化審議会国語分科会漢字小委員会の議事次第には以下のように書かれています。

手書き文字の字形と印刷文字の字形の違いは字体の違いとして捉えられるものではなく,どちらかだけが正しい又は誤りとすべきではない。また,とめ,はね,はらい等の細かな差異についても,字体の違いに及ぶものでなければ,漢字の正誤を左右するようなものとして問題視する必要はない。

つまり、毛筆の特徴であった「とめ、はね、はらい」などの細かな差異は
正誤を左右する問題ではないということです。




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「字体」で文字を区別し認識

文字の骨組みを「字体」といいます。
以下の3つが異なった漢字であると判別できるのは、それぞれの字に点画の数や構成などに関する別々の骨組みがあるのを知っているからです。
簡単に言うと、類似の文字を判別するための特徴を知っているからです。

【字体】

字体とは,文字の骨組みのことである。
文字の骨組みとは,同一の文字がその文字と認識される枠組みから外れない範囲で,目
に映る形で出現するときに生じ得る様々な字形のバリエーションに,一貫して内在してい
る共通項を抽出したものである。ある形を見たときに,人がそれを何かしらの文字として
読み取れるのは,そこにその文字特有の骨組みが存在するのを認識するからであると考え
られる。このような,文字を見分け,何という文字であるかを識別する際の判断基準とな
る文字の骨組みを字体と呼ぶ。

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逆に言えば、文字の判別に不要な部分は省略しても問題ないということになります。
上の3字の例で言うと「子」のハネは一番特徴的なものです。
ハネの有無によって文字の識別に影響を与えないので省略をしても実務上問題ありません。
だから、みなさん、手書きで「子」のハネをしていないでしょ?
これは、字体を理解しているからできるのです(逆に、字体を理解してないと省略可能かわからない)。

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私の和様のデザインも、多くのフォントも、字体は最も重要で守らなければならない要素です。

楷書、印刷文字、手書き 3パターンの読み分け

私たちは、自然に字体を理解して手書きで使っていることはわかりますが、これが日本語を学ぶ外国人の人にとって、とっても日本語を難しくしていると思います。
以下は、漢字を知らない人からしたら同じ文字に見えないかもしれません。

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「-」を「丶」にすることや、書体による楷書と手書きと印字での違いなど慣れが必要です。

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線の長短や角度、付いたり離れたりしても、字体に影響しないと同じ文字ですよね。

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「心」なんて有名ですが、楷書と明朝、ゴシック体などは同じ文字ではないですね。

字体を理解しないと文字の間違いが起こる

ここまで見ると日本語はかなり柔軟に対応しているなと思いますね。
でも、字体を理解しているから略したり、変更したりできるのです。
字体を理解していないと以下のように、現時点での許容度を超えた変更をしてしまいます。
「✕」のものは、理屈ではなく日本人的にNGだということがわかると思います。

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実際に、和様のデザイン時に同じように、字ごとにデザインの許容度を確認しました。
逆に以下のように、長短、点の有無や場所で違う文字になるからです。

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また、当然ながらこんな無茶苦茶もだめですね。

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外国人からみたら、一番左は「OKじゃないの?」ってなりそうです。他は問題外。

文化審議会「筆記の実態をもう少し重視」

ざっくり言うと、「字体を守っているなら多様な書き方を積極的に認めていきましょう!」ということだと思います。
近年の急速なPCやタブレット、スマホの普及で日本語を手書きする機会が減りました。
ここまで踏み込んだ指針は、手書き文化の衰退を危惧しているように思えます。
その② 文化庁「とめ、はね、はらいとか細部にこだわりすぎ!」② | では、
内容で重要そうな部分を抜き出しておきますね。


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