文字性を捨て現代アートと勝負した墨象(前衛書道)


「墨象」文字性という参入障壁を捨てた書道

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江戸時代、捕鯨のための補給基地が欲しかった米国のペリーが黒船でやってきて

鎖国してると補給できないから、武力で開国させたという経緯は学校で習ったと思います。

関税自主権の回復には、日露戦争で勝つまでの50年かかりました。

関税は自国産業への参入障壁にできるので国内産業の育成、保護に非常に重要な権利です。

「関税」を書道で言うと「文字性」になると思うわけです。

日本人視点での各書道ジャンルの分析(表)

戦前~戦後に生まれた「墨象(前衛書道)」という比較的新しい表現方法があります。

欧米の現代アートや抽象画の芸術概念を取り入れたものです。

文字に囚われていた書道から、文字性を捨て自由になった書道、墨を使った芸術ということです。

ジャンル

文字性

可読性

グローバル性

参入障壁

墨象
(前衛書道)

唐様

和様
(江戸以前)

△(一部)

和様(現在)

この表では、墨象(前衛書道)がダメに見えますが、文字性を捨てることで、

視覚的な要素に特化でき、海外の抽象画のグローバル市場で勝負できます。

ちなみに、漢字の唐様作品は、現在の中国に市場があるので評価をしてもらえます。

逆に、私の和様は、最も参入障壁が高すぎるため、”まだ”誰もやっている人いません。

絵画の歴史に重ねるなら、1910年台にカメラや映画が広がり、それまでの絵画の写実性が

一気に機械化されてしまった時に、作家は抽象主義に可能性を求め広がりました。

まさに今、書き文字で同現象があって「美しい文字を書く→キーボードで打つ=機械化」

そのタイミングで、私が手書きでしかできない和様に可能性を求めるみたいな…。(笑)

「墨象」は値段で優劣が付く世界での勝負へ

data 02 03 08 10

マーク・ロスコ
8690万ドル

Blood Red Mirror
110万ドル

Green White
160万ドル

Untitled
230万ドル

Blue Fool
500万ドル

現代アートは私もよくわかりませんが、上記のような値段が付いたことがあるようです。

そこには、投資の対象として、作品数や過去の実績、背景、美術界の理屈があるのでしょう。

すでに戦後から、70年以上、書の最大の特徴である文字性を捨てグローバルで勝負した結果、

今まで日本の墨象に、ちゃんとした価格がつくような動きを書道業界がしたでしょうか?

「書道は芸術」と言いながら値段がつかないとなると、どこかにウソがあるんでしょう。

「書は金がかかりすぎる」は作品が売れないから 「墨」192号より

の記事で、書が売れることは書道教室以外の収入源が書家に生まれるのですがね。

世界にはすでに墨象市場があるっぽい

調べていくと、すでに現代アートの中に墨象と完全に被るジャンルが存在しました。

Robert_Motherwell's_'Elegy_to_the_Spanish_Republic_No._110' Motherwell_O'Hara フランツクラインフランツクライン (2) ジャクソン2
ジャクソンポロック
 
ウィレム・デ・クーニング
ウィレム・デ・クーニング2

ロバート・マザウェル
(1915~1991)
アメリカ

フランツ・クライン
(1910~1962)
アメリカ

ジャクソン・ポロック(1912~1956)
アメリカ

ウィレム・デ・
クーニング
(1904~1997)
オランダ
(活動はアメリカ)

抽象表現主義

1940年代後半のアメリカ合衆国で起った。
代表的な作家は、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、マーク・ロスコ、ウィレム・デ・クーニング、ロバート・マザウェルなどで、彼らを評価した批評家として、クレメント・グリーンバーグ、ハロルド・ローゼンバーグなどが有名である。
これにより芸術の中心がパリに代わってニューヨークなるきっかけになった。「ニューヨーク・スクール」(ニューヨーク派)とも呼ばれる。(Wiki改)

 

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とりあえず、墨象で最も有名な作品の一つ、比田井南谷氏の「電のヴァリエーション」は

どれくらいの現代アートとしての価値があるのか気になります。

(千葉市が買上げ、千葉市美術館で管理委託(千葉市美術館 藁科様)。)

この作品は日本の現代アートの基準となる作品ですから、千葉市がいくらで買ったのか

公表されているなら一つの目安になりそうです。(なんと判明しました)

【初公開?】比田井南谷「電のヴァリエーション」の購入価格が判明!

最期に、たぶん日本の現代アートの書では最も有名な井上有一の作品「貧」です。

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世界でも評価が高いので、一般の人でも知っている人は多いかもしれません。

日本では美術の世界と書の世界は区別されますが、世界では平面作品として同じ土俵。

文字性を取っ払った墨象は、欧米、特に1940年代以降のアメリカの現代アートと

勝負できる分野ですので、書の世界だけにとどまることなく世界と勝負して欲しいです。

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