日本人の書にメディアの影響?
日本人に多い面白い現象がありましたので参考に掲載します。
同じ手本で練習した結果です。
![]() 共通の手本「愛」 |
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きっちりバランスが取れていますが 手本にはない「ハライ」や「ハネ」が、 加筆され手本に比べ派手になっています。 |
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外国人旅行者の作例 |
臨書という観点からはこちらが正解。 外国人の方が書の特徴を捉えていて 最も大事な余白を理解できています。 各々の線はバラけていても、 全体ではバランスが取れています。 |
「売れているラーメン」と「旨いラーメン」は違う
世界で一番売れているラーメンは、カップヌードルです。
でも、カップヌードルがラーメンの中で一番美味しいわけではありません。
ラーメン店の人からしたら「ラーメンじゃない!」という人もいるでしょう。
中にはラーメンの命「アミノ酸」を嫌い無添加のラーメン屋さんもいるでしょう。
書でも同じことが言えるのですが
メディアや広告、題字で露出度が高い書が、書として良いかどうかは別物です。
大河ドラマの題字は書道業界の評価と無関係
以前、NHK大河の題字 書道の経歴や賞歴は無関係 で書きましたが
日本で最も商業的に露出の高い題字である大河ドラマですら、
書の業界で成果を上げた人が、ほとんど採用されていません。
どっちが良い悪いではなく、これは事実だということです。
金の出処が違うと書の評価基準も変わる
これは、同じ商業的な視点でも
認知されることが重要なメディア視点と書道の習い事での視点の違いです。
習い事では技術力での評価は非常に重要ですが、
メディアではインパクトやわかりやすさが非常に大事です。
そこに、伝統や高い技術など不要です。
でも、書を習いたい人は、技術の深さや一定の歴史的背景が必要になります。
書道業界の評価とメディアの採用担当の感覚のズレは、将来も埋まらないでしょう。
若い人に見られる派手な「ハライ」や「ハネ」
偶然なのかバブル崩壊後の20年で筆文字の露出は非常に増えました。
大きな傾向として「ハライ」や「ハネ」が派手なデザインを好む傾向があり
その影響を受けた30代以下くらいの若い方に多いです。
不景気なので、広告代理店などは書に元気さなどを求めて
採用しているのかもしれません。
絵として見る外国人、文字として見る日本人
・文字として見る→日本人
・絵として見る→外国人
という違いが出ているのだと思います。
書や日本語が身近な存在なので、逆に、わかっていると思い込み
自分のスタイルで書いてしまうということなのでしょう。
実は、外国人の方が、わかってない故に、
わかっているという風にみえる結果が出てしまったということです。
清静庵
手本の「愛」は誰が書いたのですか?とてもヒドイと思います。何で手本を書くのですか、理由を教えて下さい。