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7年ぶり 美術手帖の芸術評論で落選→椹木野衣氏「入選に値」の高評価で落ち着きを取り戻す

第17回芸術評論募集に、私の初の技術論となる論文
「身体の飢餓 —— 1900年の変体仮名廃止と「現代文の和様」におけるミッシングリンク」
を応募し、落選しました。 しかし、審査員である椹木野衣氏より、言語のインフラを扱う点できわめて批評的であり、十分入選に値すると高く評価されました。 書道の伝統化と現代アート化の狭間で取り残された最も重要なミッシングリンクが、ガラパゴス化した書道界の外の専門家に届いたことは大きな成果です。

椹木野衣氏とは

日本を代表する美術評論家であり、多摩美術大学教授です。
社会や美術史の構造を鋭く分析することで知られています。
https://www.tamabi.ac.jp/people/5377/

読める書の構造改革と旨味調味料

現代文の和様というジャンルは、書道愛好家にも理解されにくいのが現実です。
行列のできるラーメン屋に、旨味調味料を使わないラーメンへの理解を求めるようなものです。
読める文字(ブロック体)を重視し、筆記体という旨味成分を制限するため、既存の枠組みでは賛同を得ることが困難です。
作品で伝える活動は続けてきましたが、私は他の書家さんと異なり、書論を持っている希少種なので、作品以外の「論」でも芸術の評論家の理解を問うてみたいと思ったのです。

評価されたポイントと今後の課題


芸術評論の座談会記事の大半は受賞者の話ですが、一部、選外の評論にも触れてくれた記事がありました。
そこで、私の論文は私たちが使う文字の前提と限界を問い直すもので、発見的であったと評されました。
居酒屋のメニューなどに新たな身体性を持つ和様を獲得していると論じた点も発見的とされました。

椹木氏による講評のポイント

項目|評価内容 視点の鋭さ|私たちが使う文字の前提と限界を問い直すもので、発見的であった。
社会的な意義|言語のインフラを扱う点できわめて批評的であった。
具体例の発見|居酒屋のメニューなどに新たな身体性を持つ和様を獲得していると論じた点が発見的であった。
総合評価|十分入選に値するくらいには面白かった。

現代アートの鑑賞には、鑑賞者に前提知識が求められます。
4名の審査員のうち真価が伝わったのが1名であった事実は、一般の鑑賞者にはさらに伝わりにくいことを示しています。
清水穣さんは書道にも造詣が深いですが「椹木氏の評価がかなり高かった」と言ってたように、逆に清水さんには、そこまで響かなかったのも事実です。
今後は、作品を見てもらう前の風土づくりとして、このミッシングリンクの情報を発信していく活動に注力します。

ブログ掲載用の論文概要

【論文タイトル】
身体の飢餓 —— 1900年の変体仮名廃止と「現代文の和様」におけるミッシングリンク

本論は、既存の書道界が古い筆記体のルールに固執し、現代のブロック体に適合できなかった100年の歴史を分析しています。その解決策として、従来の「読めない筆記体」に頼るのではなく、漢字の骨格(角)とひらがなの丸みを両立させる新しいデザイン理論を提示しました。これは、AIの画像認識もクリアし、現代の女子高生がカバンに文字を書く「スクバデコ」の野生の感覚とも一致する、現代日本語のための新しい標準ルールの提案です。

【ポイント:私が伝えたかった3つのこと】

  1. 歴史のバグ: 明治時代に活字(ブロック体)が導入されて以降、日本には「現代文の手書きルール」が100年以上も不在のままである。
  2. 書道界の限界: 筆記体(読めない字)という「旨味調味料」に依存する書道界は、ブロック体(読める字)を美しく書く構造を作れなかった。
  3. 新理論の提示: 漢字の骨格を守りつつ、ひらがなの丸みを組み込む(新技法)ことで、従来では困難っだった「漢字、ひらがな、カタカナ」&「縦横書き」の調和した新しい和様が作れる。 

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