【募集】「未来の古筆を創る」プロジェクト『The Gate』始動
なぜ、現代の「書」は、これほどまでに社会から孤立してしまったのでしょうか。
かつて書は、単なる習い事や鑑賞物ではありませんでした。
建築の一部であり、プロダクトデザインの要であり、そして何より、人の心を動かす「生きた言葉」として、日本人の日常のあらゆる場面に存在していました。
しかし現在、書は新聞社系団体が主催する公募展という、閉ざされたガラスケースの中で消費されるだけの存在になっていないでしょうか。
他の日本文化——建築、陶芸、盆栽、漫画、ファッション——が、時代に合わせてアップデートを遂げ、世界中で評価されている中で、なぜ「書」だけが過去の再現(古典の臨書)に留まっているのでしょうか。
私たちは、この現状に強烈な危機感を抱き、一つのプロジェクトを立ち上げました。
その名は、『The Gate』。

これは、書と社会の接続を取り戻し、失われた「現代文の和様(日本らしい書き文字)」を創るための実験場です。

書道史のミッシングリンク(空白)をご存知ですか?
多くの人が見過ごしている、日本の書道史における重大な「断絶」があります。
江戸時代まで、日本には「御家流(おいえりゅう)」という、寺子屋で教えていた日本独自の崩し字(江戸時代の和様)のスタンダードが存在しました。しかし、明治33年(1900年)、小学校令施行規則により、この御家流は学校教育から排除されます。
代わりに採用されたのは、活字をベースにした「楷書」です。
ここから、日本独自の「書き文字」の歴史はストップしました。
現代の私たちが筆を持つとき、平安時代の「かな」を真似るか、唐の時代の「漢字」を真似るかしか選択肢がありません。(調和体、近代詩文書も古典の技法に依存するため、現代文のアップデートになってない)
「現代の日本語(漢字仮名交じり文)」を、美しく、日本らしく書くためのスタイルが存在しないのです。
これこそが、私たちが直面している書道史の「ミッシングリンク(空白)」です。

この空白を放置したままでは、書は永久に現代社会と接続できません。
『The Gate』は、この空白を埋めることが目的です。
現代の感性で、現代の言葉を書き、それが1000年後の未来において「現代文の古筆(古典)」と呼ばれるような、新しい価値を創造すること。それが私たちのミッションです。
美術品との対話:今回のアサインメント(課題)
The Gateでは、従来の書道のように、ただ紙に向かって文字を書くのではありません。
「具体的な需要(モノ)」に対して書くことで、書の機能を回復させます。
記念すべき第一回のテーマは、「美術品への書き付け」です。
コレクターや美術館が所蔵する「本物の古美術品」をお題として提示します。
もしあなたが、現代の茶人あるいは数寄者として、この美術品を手に取ったとき、そこに「どのような言葉」を選び、「どのような書」で記すのか。
今回は以下の2つのテーマを用意しました。

テーマ①:備前平水指への「現代風箱書き」
一つ目のお題は、桃山時代後期〜江戸時代前期に作られた「備前焼の平水指(ひらみずさし)」です。
この水指には、かつての茶人が「鏡餅(かがみ餅)」という銘(名前)を付けた箱書きが残っています。茶色くて平べったい姿を、正月の鏡餅に見立てて愛でたのです。これは、当時の日本人が持っていた豊かな見立ての文化の証拠です。
【課題】
この水指を現代のあなたが見たとき、どのような「銘」を付けますか?
そして、その銘を箱に書き付けるとしたら、どのような書体、構成で表現しますか?
現代の感性による「新しい箱書き」を提案してください。

テーマ②:保命酒徳利への「書(画)」
二つ目は、江戸後期〜明治期に作られた「保命酒徳利(備前焼角徳利)」です。
釉薬をかけない備前焼では、絵付けができない代わりに、胎土(粘土)に直接ヘラなどで和歌や風景を彫り込む文化がありました。これは、当時の「書」がプロダクトデザインの一部だったことを示しています。
【課題】
この徳利の側面に、現代のあなたが言葉を刻むとしたら、何を、どう書きますか?
言葉(書)でも、絵(画)でも構いません。現代人の美意識を、この土肌に刻み込んでください。
アーティスト、デザイナーなど表現者、観覧者へ

このプロジェクトは、既存の書道団体の枠組みには収まりません。
審査員には、古陶磁鑑定美術館Jpn代表であり、古備前の鑑定家である山崎氏を迎えます。
「字が綺麗かどうか」という既存の書道の物差しではなく、「そのモノの価値を高めているか」「現代の美意識として成立しているか」という、アートとマーケットの”機能美”視点で講評が行われます。
提出作品は、額装や裏打ちは不要です。書いたままの「まくり」の状態でお持ちください。
なぜなら、優れた作品は、その場でコレクター(参加者や審査員を含む)から購入のオファーが入る可能性があるからです。
これはコンテストであると同時に、あなたの作品が市場と接続する最初のゲート(門)でもあります。
観覧席も設けますので、関心がある方はお気軽に議論の様子を御覧ください。(オンライン参加希望の場合は事前におっしゃってください)
- 機能美を取り戻すことで書をアップデートしたい方
- 文字を扱うデザイナーの方
- 素材と対話する陶芸家の方
- 日本の美意識をアップデートしたいと願うすべての方
流派も、実績も、ジャンルも問いません。
必要なのは、「現代の書」を創るという意志だけです。
歴史の空白を埋めるのは、あなたの筆かもしれません。
文京区 湯島・本郷の地で、まだ見ぬ「未来の古筆」に出会えることを楽しみにしています。
▼ 詳細・参加申し込みはこちら(特設LP)
The GATE ~門を拓く人たちへ~ – わよう書道会「未来の古筆」を創るwayoh.jp
【開催概要】
- 日時: 2026年 2月7日 (土) 15:00~
- 場所: 東京都文京区 湯島・本郷三丁目周辺(参加者へ個別に通知)
- 参加費: アーティスト参加 4,000円 / 観覧参加 1,000円
- 主催: わよう書道会(代表:うどよし)





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