【2024年最新版】書道業界が嫌い? NHK大河ドラマ題字まとめ

NHK大河ドラマの題字まとめ

NHKさんが作ってくれないので作っていたら2020年6月、NHK公式が作ってくれました大河ドラマの題字




ココが役に立ったら「応援」と思って「チャンネル登録」してね


NHK大河ドラマの題字は書道業界が嫌い?

日本で最も露出度の高いNHK大河ドラマの題字は、書道の顔になるのですが、実は、書道業界からの採用がありません。
2024年「光る君へ」根本知氏は書道業界から脱退組、2025年「べらぼう」石川九楊氏は書道業界に所属歴がありません。

なぜ、NHKは石川九楊氏に平仮名の題字を依頼した?

今回の題字「べらぼう」は平仮名4文字。
石川九楊氏の作品を知っている人からすれば、石川九楊氏が最も遠い構成です。
誤解を恐れずいうと「不得意」なジャンルです。
例えるなら、競泳選手にアーティスティックスイミング(旧シンクロ)を依頼するようなものです。
石川九楊氏は、2017年に「読める書」参画を表明しました。(詳しく知りたい方は、過去ブログを御覧ください。)


しかし、その後、具体的な作品は露出されていません。
私の想像では、石川九楊氏は「読める書」がカンタンだと思って発表したものの、上手くできなかったのではないかと予想していました。
そして、突然の大河ドラマの題字「べらぼう」を見せられたわけです。

【PR】「現代文は”石川九楊”でも手に負えない」

「アートバーゼル香港(記事 大河ドラマの題字並のプロモーション効果あり)」デビューできるほどの力のある石川九楊氏が、2017年に「読める書」参画して(研究はもっと前から)6年経過した「読める書」の成果が「べらぼう」です。
石川九楊氏ですら、現代文はこうなってしまうのです。
どんなに古典を学んでも、研究しても、現代文に真剣に取り組まない限り気付かない盲点があります。
当然ですが「読める書」に取り組むと”読みやすさ”が大事です。(古文、漢文の書道脳では気付きません)
読みやすくする方法はカンタン「かすれ、にじみを抑える」のです。
メモで書いた文字が、かすれたり、にじんだりすると読めないから困るでしょ?
それと同じです。




「チャンネル登録」してくれたら動画ネタになるかもよ!


有名ラーメン屋に「味の素抜きで」と注文するようなもの

よかいち

「かすれ、にじみ抜き」は、有名な書家や立場が上の書家ほど厳しい。
例えは、有名ラーメン店で「ラーメン1つ、味の素抜きで!」と注文するようなものです。
もちろん、味の素抜きのラーメンは作れます。
でも、有名ラーメン屋として味の素抜きは出せません。
石川九楊氏は、80歳を超えた超有名な書家なので「味の素抜き」はキツい注文です。
私の作品集を見てもわかると思いますが、同じ4文字縦書きの作例だと榊莫山氏揮毫の「よかいち」はわかりやすいと思います。
「よかいち」は「味の素抜きラーメン」が出せるラーメン屋ですが、まだ「べらぼう」には難しそうです。
そもそも、晩年に現代文を取り組んでも寿命が足りないことは歴史が証明しています。
現代文の書の専門家として「現代文は難しい」と知ってもらえるといいなと思います。
NHKさんが、石川九楊氏が最も苦手なジャンルを発注した経緯は謎です。
今後、ドキュメンタリー番組が放送されるようなことがあれば、まあ、そういうことでしょう。

題名 題字担当 職業 書道の賞歴
2025年 べらぼう

石川九楊 書家
2024年 光る君へ

根本知 書家 毎日書道展 佳作賞
2023年 どうする家康

GOO CHOKI PAR
浅葉球・飯高健人・石井伶
デザイナー
2022年 鎌倉殿の13人NHK大河ドラマ 鎌倉殿の13人 フォント
2021年 青天を衝け

杉本博司 現代美術家
2020年 麒麟がくる
中塚翠涛 書家
2019年 いだてん
~東京オリムピック噺~
横尾忠則 グラフィックデザイナー
2018年 西郷どん
L.S.W.F クリエイティブ集団
2017年 おんな城主 直虎
Maaya Wakasugi 書家(パフォーマンス)
2016年 真田丸 挾土秀平 左官技能士
2015年 花燃ゆ
國重友美 書家(元タレント)
2014年 軍師官兵衛
祥洲 書家
2013年 八重の桜
赤松陽構造 映画タイトルデザイン
2012年 平清盛
金澤翔子 書家
2011年
菊池錦子 書家 毎日賞
2010年 龍馬伝
紫舟 書家
2009年 天地人
武田双雲 書家
2008年 篤 姫
菊池錦子 書家 毎日賞
2007年 風林火山
柿沼康二 書家 毎日賞
2006年 功名が辻
だんきょうこ 書家
2005年 義経 陳變君
2004年 新選組! 荻野丹雪 書家
2003年 武蔵 MUSASHI 吉川壽一 書家
2002年 利家とまつ 竹山洋 脚本家
2001年 北条時宗 宮嶋宏行
2000年 葵 徳川三代 ジェームス三木 脚本家
1999年 元禄繚乱 渡辺裕英 (株)NHKアート
1998年 徳川慶喜 NHK制作?
1997年 毛利元就 毛利元就 自筆書状
1996年 秀 吉 森繁久弥 俳優
1995年 八代将軍吉宗 仲代達矢 俳優
1994年 花の乱 宮田雅之 切り絵
1993年 炎立つ 山田惠諦 天台宗僧侶
1993年 琉球の風 水谷勇夫 現代美術家
1992年 信長 渡辺裕英 (株)NHKアート
1991年 太平記 大鹿洋江
1990年 翔ぶが如く 司馬遼太郎 原作者
1989年 春日局 望月美佐 書家
1988年 武田信玄 海老原哲(賞歴詐称)
→渡辺裕英
(株)NHKアート
1987年 独眼竜政宗 長揚石 篆刻
1986年 いのち 山本一乗
1985年 春の波濤 望月美佐 書家
1984年 山河燃ゆ 村山 真
1983年 徳川家康 渡辺裕英 (株)NHKアート
1982年 峠の群像 望月美佐 書家
1981年 おんな太閤記 竹沢四郎
1980年 獅子の時代 渡辺裕英 (株)NHKアート
1979年 草燃える 山本一乗
1978年 黄金の日日 須田利一
1977年 花 神 川村 実
1976年 風と雲と虹と 海音寺潮五郎
※NHK公式では不明
原作者
1975年 元禄太平記 山本一乗
1974年 勝 海舟 川村 実
1973年 国盗り物語 中馬太嘉志
1972年 新・平家物語 望月美佐 書家
1971年 春の坂道 山岡荘八 原作者
1970年 樅ノ木は残った 渡辺裕英 (株)NHKアート
1969年 天と地と 川村 実
1968年 竜馬がゆく 須田利一
1967年 三姉妹 ※NHK公式でも不明
1966年 源義経 渡辺裕英 (株)NHKアート
1965年 太閤記 渡辺裕英 (株)NHKアート
1964年 赤穂浪士 須田利一
1963年 花の生涯 渡部 清

書道業界出身者は不採用?NHK大河の題字事情

■大手書道公募展の賞歴は、あまり関係ない。 →大手公募展の主要な賞の受賞者が過去2名しかいない・・・(非公開なら、しらん!)。
書道業界は日本の4大書展(日展、毎日、読売、産経)に寡占されており、無所属の書家を探すほうが困難なほどですから、NHK大河の題字は、現在の書道業界のトレンドとは別視点で決定していることがわかると思います。
(公募展入賞、入選などは半数がもらえるので無評価。 所属の団体展、詐称の疑いの賞歴は無評価としました。)
■NHKの大河ドラマに読売、日展系の書家がいない(と思われる)。 →NHK大河ドラマの題字選定者は、商業的な表現を好む傾向がある(テレビだし)。
■誰だかわからない人も担当している・・・。 →日本で最も露出度のあるNHK大河ドラマの題字を提供しているのに ほとんど名前が出てこない人が結構います。
謙虚すぎです! 先生をしているなら本人やお弟子さんや団体の活動から名前が出てきそうなのに・・・。
■同じ人が複数回担当することがある。
→1位 渡辺裕英氏 8回、2位 望月美佐氏 4回、3位 須田利一氏 3回。
■1/3のタイトルの揮毫者が不明。決定がいい加減かも?
→19/53タイトル 約36%が題字の作者が不明だそうです・・・。どうなっとんだ?
→追記:NHKさんの調査で、不明だった多く担当者が判明しました!
■1998年 武田信玄 の題字は当初、単なる素人に依頼していた
→最初、海老原哲弥氏が当初担当していたが、賞歴詐称がバレて急遽差し替え(つまり、騙されたNHKは被害者)。
■職業別 題字担当回数は、書家が1位14回、2位 NHKの内作6回。
→ただし、8回担当した渡辺裕英氏は、元㈱NHKアートらしい。内作するとはもったいない・・・。

職業 集計
不明 20
書家 17
㈱NHKアート 6
原作者 3
俳優 2
脚本家 2
現代美術家 2
自筆書状 1
切り絵 1
天台宗僧侶 1
篆刻 1
映画タイトルデザイン 1
グラフィックデザイナー 1
クリエイティブ集団 2
左官技能士 1
フォント 1

参照NHKのサイト http://www.nhk.or.jp/archives-blog/genre/drama/35001.html
ただし、ここだけでは不十分だったため色々調べて追記しました。
間違いなどあればご指摘くださいませ。

「光る君へ」の題字の感想

縦書き、横書きあるのですが、別々に書いているので少し構成が異なります。
縦組みできないかなとやってみると問題なさそうです(「加工」バージョン参考)
ついでに、横組みの「へ」の位置は素直に真横で良かったんじゃないかなと思って並べ替えしてみました。

平安時代だから「仮名の書家」となったと思うのですが、構図に苦労された気がします。
私は、こういう場面こそ、普段、生徒に指導している上代様で処理するほうがいいと思う派です。
「なにかしなければならない」となり「光」の「L」と「へ」で変化しか逃げ場がなかったのかも?
構成としては、「光」「る」「君へ」と思います。(「光」=「君へ」を1塊として見るとわかりやすい)
縦書きは余白を斜め対称、横書きは右上で、安定させようとしてます。
漢字の造形を普通にしたため、風味を補うための「へ」の個性なのかなと想像しています。


題字は現代文で書く必要があります。
現代文は現代にしかないので、古文の技法が使えません。
さらに書家さんでも知らない人が多いのですが、平仮名50音図は1900年に活版印刷のために生まれた文字です。
1000年以上前の紫式部が活躍した平安中期に、現在の平仮名は存在しません。
「書家は何でも書ける」ように振る舞っていますが、「平安の仮名」(江戸時代の文字は書けない)と「漢文」が書けるだけで、筆の歴史のない現代文は苦手。
仮名の書家さんは「漢字が苦手+現代の平仮名が苦手=現代文でかなり不利」なんで、採用されにくいのかなと思っています。


関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA