【2024年最新版】書道業界が嫌い? NHK大河ドラマ題字まとめ
NHK大河ドラマの題字まとめ
NHKさんが作ってくれないので作っていたら2020年6月、NHK公式が作ってくれました大河ドラマの題字
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NHK大河ドラマの題字は書道業界が嫌い?
日本で最も露出度の高いNHK大河ドラマの題字は、書道の顔になるのですが、実は、書道業界からの採用がありません。
2024年「光る君へ」根本知氏は書道業界から脱退組、2025年「べらぼう」石川九楊氏は書道業界に所属歴がありません。
なぜ、NHKは石川九楊氏に平仮名の題字を依頼した?
今回の題字「べらぼう」は平仮名4文字。
石川九楊氏の作品を知っている人からすれば、石川九楊氏が最も遠い構成です。
誤解を恐れずいうと「不得意」なジャンルです。
例えるなら、競泳選手にアーティスティックスイミング(旧シンクロ)を依頼するようなものです。
石川九楊氏は、2017年に「読める書」参画を表明しました。(詳しく知りたい方は、過去ブログを御覧ください。)

2017.07.19
読めない書家代表 石川九楊氏「誰もが読める書を!」突然どうした!
書だ!石川九楊展 石川九楊氏の書展が2017年7月30日まで上野精養軒で行われています。 石川九楊氏は、NHKなどにも相当な出演歴をお持ちで、研究者、評論家のイメージがある書家です。 そして、石川九楊氏の作品は、こんな感じです。 他に見たい場合にはまとめを見てください(ぜひ見て次...
しかし、その後、具体的な作品は露出されていません。
私の想像では、石川九楊氏は「読める書」がカンタンだと思って発表したものの、上手くできなかったのではないかと予想していました。
そして、突然の大河ドラマの題字「べらぼう」を見せられたわけです。
【PR】「現代文は”石川九楊”でも手に負えない」
「アートバーゼル香港(記事 大河ドラマの題字並のプロモーション効果あり)」デビューできるほどの力のある石川九楊氏が、2017年に「読める書」参画して(研究はもっと前から)6年経過した「読める書」の成果が「べらぼう」です。
石川九楊氏ですら、現代文はこうなってしまうのです。
どんなに古典を学んでも、研究しても、現代文に真剣に取り組まない限り気付かない盲点があります。
当然ですが「読める書」に取り組むと”読みやすさ”が大事です。(古文、漢文の書道脳では気付きません)
読みやすくする方法はカンタン「かすれ、にじみを抑える」のです。
メモで書いた文字が、かすれたり、にじんだりすると読めないから困るでしょ?
それと同じです。
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有名ラーメン屋に「味の素抜きで」と注文するようなもの
「かすれ、にじみ抜き」は、有名な書家や立場が上の書家ほど厳しい。
例えは、有名ラーメン店で「ラーメン1つ、味の素抜きで!」と注文するようなものです。
もちろん、味の素抜きのラーメンは作れます。
でも、有名ラーメン屋として味の素抜きは出せません。
石川九楊氏は、80歳を超えた超有名な書家なので「味の素抜き」はキツい注文です。
私の作品集を見てもわかると思いますが、同じ4文字縦書きの作例だと榊莫山氏揮毫の「よかいち」はわかりやすいと思います。
「よかいち」は「味の素抜きラーメン」が出せるラーメン屋ですが、まだ「べらぼう」には難しそうです。
そもそも、晩年に現代文を取り組んでも寿命が足りないことは歴史が証明しています。
現代文の書の専門家として「現代文は難しい」と知ってもらえるといいなと思います。
NHKさんが、石川九楊氏が最も苦手なジャンルを発注した経緯は謎です。
今後、ドキュメンタリー番組が放送されるようなことがあれば、まあ、そういうことでしょう。
書道業界出身者は不採用?NHK大河の題字事情
■大手書道公募展の賞歴は、あまり関係ない。 →大手公募展の主要な賞の受賞者が過去2名しかいない・・・(非公開なら、しらん!)。
書道業界は日本の4大書展(日展、毎日、読売、産経)に寡占されており、無所属の書家を探すほうが困難なほどですから、NHK大河の題字は、現在の書道業界のトレンドとは別視点で決定していることがわかると思います。
(公募展入賞、入選などは半数がもらえるので無評価。 所属の団体展、詐称の疑いの賞歴は無評価としました。)
■NHKの大河ドラマに読売、日展系の書家がいない(と思われる)。 →NHK大河ドラマの題字選定者は、商業的な表現を好む傾向がある(テレビだし)。
■誰だかわからない人も担当している・・・。 →日本で最も露出度のあるNHK大河ドラマの題字を提供しているのに ほとんど名前が出てこない人が結構います。
謙虚すぎです! 先生をしているなら本人やお弟子さんや団体の活動から名前が出てきそうなのに・・・。
■同じ人が複数回担当することがある。
→1位 渡辺裕英氏 8回、2位 望月美佐氏 4回、3位 須田利一氏 3回。
■1/3のタイトルの揮毫者が不明。決定がいい加減かも?
→19/53タイトル 約36%が題字の作者が不明だそうです・・・。どうなっとんだ?
→追記:NHKさんの調査で、不明だった多く担当者が判明しました!
■1998年 武田信玄 の題字は当初、単なる素人に依頼していた
→最初、海老原哲弥氏が当初担当していたが、賞歴詐称がバレて急遽差し替え(つまり、騙されたNHKは被害者)。
■職業別 題字担当回数は、書家が1位14回、2位 NHKの内作6回。
→ただし、8回担当した渡辺裕英氏は、元㈱NHKアートらしい。内作するとはもったいない・・・。
職業 | 集計 |
---|---|
不明 | 20 |
書家 | 17 |
㈱NHKアート | 6 |
原作者 | 3 |
俳優 | 2 |
脚本家 | 2 |
現代美術家 | 2 |
自筆書状 | 1 |
切り絵 | 1 |
天台宗僧侶 | 1 |
篆刻 | 1 |
映画タイトルデザイン | 1 |
グラフィックデザイナー | 1 |
クリエイティブ集団 | 2 |
左官技能士 | 1 |
フォント | 1 |
参照NHKのサイト http://www.nhk.or.jp/archives-blog/genre/drama/35001.html
ただし、ここだけでは不十分だったため色々調べて追記しました。
間違いなどあればご指摘くださいませ。
「光る君へ」の題字の感想
縦書き、横書きあるのですが、別々に書いているので少し構成が異なります。
縦組みできないかなとやってみると問題なさそうです(「加工」バージョン参考)
ついでに、横組みの「へ」の位置は素直に真横で良かったんじゃないかなと思って並べ替えしてみました。
平安時代だから「仮名の書家」となったと思うのですが、構図に苦労された気がします。
私は、こういう場面こそ、普段、生徒に指導している上代様で処理するほうがいいと思う派です。
「なにかしなければならない」となり「光」の「L」と「へ」で変化しか逃げ場がなかったのかも?
構成としては、「光」「る」「君へ」と思います。(「光」=「君へ」を1塊として見るとわかりやすい)
縦書きは余白を斜め対称、横書きは右上で、安定させようとしてます。
漢字の造形を普通にしたため、風味を補うための「へ」の個性なのかなと想像しています。
題字は現代文で書く必要があります。
現代文は現代にしかないので、古文の技法が使えません。
さらに書家さんでも知らない人が多いのですが、平仮名50音図は1900年に活版印刷のために生まれた文字です。
1000年以上前の紫式部が活躍した平安中期に、現在の平仮名は存在しません。
「書家は何でも書ける」ように振る舞っていますが、「平安の仮名」(江戸時代の文字は書けない)と「漢文」が書けるだけで、筆の歴史のない現代文は苦手。
仮名の書家さんは「漢字が苦手+現代の平仮名が苦手=現代文でかなり不利」なんで、採用されにくいのかなと思っています。
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