「令和」の“令”が”命令”と感じるのは書風が原因?

「令和」を発表する菅官房長官(ロイター)

新年号「令和」に湧く日本

予想以上に新元号「令和」が話題となっているなと感じます。
4/1にVTR出捐する予定だったり(飛びましたが)、私でも多少の恩恵を受けているほど、文字や書道関係?の話題では一番盛り上がっています。
私もこのお祭りに参加したいと「令和」を揮毫してダウンロードできるようにしています(既に100以上ダウンロードされています)。

新元号「令和」の書道データの無料ダウンロード

初の国書からの採用 日本が日本回帰を始めてる? 新元号が「令和」に決まりました。 国書(日本古典)から採用したのは確認できる限り初めてのことらしく、大変うれしく思います。 

国民からも色々な意見、感想が出ています。
私も門外漢のところもありますが、一応、「令和」に関する疑問等に、私の個人的感想を書いてみました。
・揮毫された「令」の書き方が「ア」だ!「マ」じゃない?
→どっちでもいい。ただし、「口+令」の「命」は「ア」式で「マ」式は間違い。ざっくりいうと「令」が「ア」式なのは中華のデザイン。漢字のフォントは、19世紀初頭ヨーロッパで中華のデザインを採用して明朝体の活版を作ったため。活字体と手書き楷書の差異が生まれた。
・誰が書いたの?
→大東文化大学書道家卒+謙慎書道会所属→内閣府の公務員になるルートがあって、その方が書いた。平成も同じ職種の方の揮毫。
・「平成」より「令和」の方が上手い!
→「令和」は現代的な書き方で、所属団体の謙慎書道会の特徴を出している(業界内では見て「謙慎だ」とわかる模様)。「平成」にはゆるい隙があるが、「令和」には書の圧力が強く隙がない。愛されるのはどっちかといえば「平成」の方だと思う。
・「命令」の「令」だ!けしからん!→この場合の「令」は「よい」と言う意味です。「令嬢」とかと同じ。




ココが役に立ったら「応援」と思って「チャンネル登録」してね


「令和」の「令」は命令の意味という意見が意外と多い

最後の「命令」の「令」の意味だと誤解している人がいます。
これを真正面から「漢字の意味が違うよ」って正論で言っても面白くないので、別視点で捉えたいと思います。
「平成」の書と「令和」の書を比べてみましょう。

令和が命令と思うのは書のせいじゃない?

おそらく一般人は「令和」の方がかっこいい、上手だと思うのではないでしょうか?

「平成」の方がよりリベラル

しかし、書家の作品としてみた場合は、異なる視点が出てきます。
「平成」は、はね、はらいはあるものの、現在の流行の書道スタイルに比べると主張がなく「平成」と言う情報を忠実に伝えることに徹していると解釈ができます。
つまり、中立、リベラルなのです。
一方、「令和」は、赤○したところのように不要な情報がたくさん入っています。
これが、この書を「かっこいい!」と感じるポイントでもありますが、逆に、「令和」という元号の文字情報以外の不要な情報を入れてしまっている、つまり、その分、印象に偏りが出ます。

書体と意味が逆

安倍首相は「令和」の意味を以下のように答えています。

「令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」

「令和」は「書の圧力が強く隙がない」と前述しました。
「令和」の書に、”人々が美しく心を寄せ合う”という意図とは逆の”相手を圧倒する力”を感じさせる情報がバンバン入っています。
こうなる背景を3点にまとめました。
①日本の書道は、中華式の唐様が主流で、唐様は強い表現が好まれる。
②揮毫者の所属先と思われる謙慎書道会の親団体「読売書法会」は、より中華式の傾向が強い(”書法”は中国語の書道の意味)。
③日本式の和様は、柔らかい表現が好まれるが、現在の日本語には和様がない。
「平成」を揮毫された方は、余分な情報を排除した結果、あの「平成」になったとも考えられます。




「チャンネル登録」してくれたら動画ネタになるかもよ!


「令和」にある余分な情報を排除した結果

令和が命令と思うのは書のせいじゃない?

ようやく本題です。
「令和」の余分な情報を排除して書いてみたらどうなるのか?と言う検証画像を添付します。
書的に上手い下手とかではなく、本来の意味に近い優しい印象になり、かなり「命令」要素が減っていると感じませんか?
もし、これを発表されていたら、一部の人の偏った意見は言葉本来の意味を見ようとなったのかもしれません。

書道は未熟な文化

今回の事例を見ても、日本の書道は、他の芸事と比べて未熟だと思います。
「未熟=成熟前」と言う意味です。
外国文化の唐様が書道の主体であることが独自発展の弊害となっていると思います。
しかし、さすがに150年続くと、唐様が隅々まで浸透してしまっているので、今回の「令和」でもわかるように、文字の由来を国書にしても、現時点では、中華式以外の選択肢がありません。
時間はかかりますが、日本独自の和様を日本人の手で生み出し、育て、定着させる努力をしていきたいと思います。


関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA