「現代文」とは、何者なのか?

皆さんは「現代文」と「古文」の明確な違いをご存知ですか。私は現代文の和様を開発している立場なので、この区別に大変苦労しています。

「現代文」と「古文」は、学校で習うのだから、どこかに絶対のルールがあるはずだと思いがちです。 しかし、文化庁国語課に問い合わせると以下のような回答が返ってきます。

結論は「文化庁では現代文の定義を示していない」でした。 国レベルでも正解がなく、目的に応じて自由に設定してよいとのことです。 実は、日本語の専門学者を集めても、この境界線を明確に引くことはできません。

映像で平安時代の手書きシーンはあっても、江戸時代は手書きシーンがない

なぜなら、学者は過去の文献(書き文字)を「読む」専門家だからです。 一般に「読める人は書ける」と誤解されますが、読む能力と書く能力は全く別物です。 その証拠が、NHK大河ドラマ「べらぼう」の小道具に表れています。

江戸時代が舞台なのに、手紙がなんとなく読める現代文で書かれています。 当時の公式書体は「御家流」ですが、1900年の教育改訂で廃止されました。 その結果、現在では御家流を「書ける」書家が絶滅してしまったのです。 米国では歴史文書を読むために、一旦辞めていた英語の筆記体教育が復活しつつありますが、しかし、日本ではそのような動きはまったくなく、御家流を書く技術は途絶えました。そのため、時代考証がしっかりしている映像作品ほど、江戸時代の手書きシーンはないはずです。

現代文は日本の手書き文字のミッシングリンク

日本の書き文字の歴史を振り返ると、ある重大な事実に気づきます。

平安時代の上代様、江戸時代の御家流と、日本独自の書体(和様)が続いてきました。 しかし明治以降、現代文のための「和様」がすっぽり抜け落ちています。 現在は中華式の「楷書」をそのまま使っている状態なのです。

現代文の定義がないから提案します!

過去を解読するのではなく、現代の生活に合わせて文字を「書く」立場から、私は現代文の一つの定義を提案します。 それは「音」ではなく「筆記(視覚)と印刷技術」に基づくルールです。
私の考える現代文の条件は以下の3つです。

  • 1 活字体(楷書)の骨格を守っていること(活版印刷に適した構造)
  • 2 縦書きだけでなく横書きができること(近代以降の左横書きへの対応)
  • 3 漢字、ひらがな、カタカナを交ぜて表記すること(現代特有の多層的な表記)

とくに横書きと活字体への対応は、木版印刷が主流だった古文にはない、現代文特有の機能です。 そして、この条件を満たす書を開発しているのが私で、指導しているのが「うどよし書道教室」で、もと広く社会に参画しもらうために実施しているのが公募展「おもしろい書展」「#ペン字コンテスト」などです

書道業界では過去100年ほど古典の現代文展開を続けていましたが、これがうまく行っていません。先人たちの取り組み、書道史、文字史を研究した結果、筆記体を制限された状態でも鑑賞に耐える現代文に合わせた独自の設計(デザイン)が必要になると考えています。国や学者に正解がないのであれば、実務者である私たちが基準を作ります。 この3条件を満たす、今の生活で本当に使える実用的な書「現代和様」を、今後も追求していきます。


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