(昔話) デザイン盗用された側の話もしてみる

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2011年3月16日に、私は『がんばろう日本。』の筆字のロゴを公開しました。

私の書ジャンルは、一般的に“書道”と呼ぶ中華式の「唐様(からよう)」ではなく

“(漢字、ひらがな交じりの)日本語を(続け字、崩し字を使わずに)筆字で書く”

「和様(わよう)」というものです。

書道の中でも、和様専門は私だけなので、超ニッチな分野になります。

さて、『がんばろう日本。』のロゴを発表する前、つまり、震災直後は、

今より景気が悪いにもかかわらず“自粛ムード”がただよい、様々なイベントが中止になっていました。

私は、東北だけじゃなく日本全体で協力して、なんとか自粛ムードを払拭できたらと思い

専門の和様を活かして『がんばろう日本。』という言葉を3つ書いて、内1枚を公開しました。

おそらく最も早く、この言葉を筆字で発表したこともあり、SNSなど通じてすごく広がりました。

サイトのアクセス数も何十倍にもなり、たくさんのメールや書き込みをいただきました。

個人、企業からの問い合わせは300を超えたと思います。

でも、その裏では、悲しいことが数回あったのです。

SNSなど通じて、知り合いから「『がんばろう日本。』みたよ!」と入ってくる情報の中に

私の書作品と似ているけど確実に違うデザインが、企業広告などに使われていました。

和様という超ニッチ分野と書きましたが、唐様の楷書以外で、読める筆字で日本語を書くという

作例自体があまりない(から、作らないといけないというのが業界の課題の一つとも言える)ので

一般の人は、似たものがたくさんありそうなのですが、類似品がそんなにないんです…。

当時の私の感覚では、画像はオープンだったので「使いたい」と言うものだと思っていました。

まさか、わざわざ人件費を使って、私の『がんばろう日本。』を似せて書かせたり、

加工して自分たちのオリジナルとして、企業などからお金を貰っている人たちがいるなんて

想像すらしていませんでした。びっくりです。

私の和様には独自の技法(筆法)があります(そこに私の独自性があるんです)。

それは、ひらがなのない中華式の唐様書道にはない(必要ない)筆法で

試行錯誤して、その技法やルールを作った私や、それを学んだ生徒にはわかるものでした。

そこで企業に疑問点など問い合わせをしましたが「真似、盗用の事実はない」という結論でした。

念のため特許などに詳しい弁護士に相談したら

「加工、変更されたら、似ているというだけで盗用を証明するのは難しい。

筆法や書き方に権利がないので特許も取れない。

ましてや、仕事の依頼者になる広告代理店ともめたり、訴訟するのは今後を考えると危険。

広告代理店も、それを知った上で盗用や類似品作成を行っていると思う。」

とのことでした。

そんな中、ある1社は盗用を認めてくれました(ずさんな加工だったので…)。

「『がんばろう日本。』を参考に、似たものを作って欲しいと広告代理店に依頼した。

でも、ロゴは自分たちが作ったものなので使用中止や回収は行わない。」

というのが、その代理店の答えでした(最終的には利用する会社が調整案を提示してくれた)。

私は、デザインを真似された側は、これほど弱いのかとショックでした。

盗用の可能性の指摘があれば、関係者は真摯に問題に向き合ってほしいです。

私のような事例はたくさんあると思うのです。

大きな影響力のあるメディアや広告代理店は「ミスをしただけ」でも

個人事業主やその家族には、とてつもない影響があります。

良い待遇、良い給料を貰っているということは、責任は大きいと思います。

今回の騒動で、5年前のことを思い出したので、ちょっと書いてみました。

(大騒ぎにするつもりはありませんので)

こういうことは4年後には忘れて、よいオリンピックになったらいいなと思います。

最後に、私もトートバッグデザインやってるんでよろしく(笑)

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