書道は市場評価と公的評価が異なる世界

書道のアート市場での価値を高める活動

以前”芸術文化分野における優れた業績を挙げた”「紫綬褒章を受賞した書家がいない」というブログを書きました。


主要な美大にない書道はアート市場の取引がなく、実質「無価値」です(買う人がいない、画商もいない)。
書道は美大ではなく教育系大学にあるためアートビジネスの基本はゼロ。
環境、競争、意識の差は、プロ市場を持つ「野球」とアマチュアだけの「ソフトボール」ほどはあります。
多くの書家は、不確実な市場評価より公的機関の格付けを得る方向に向かいました(これが謝礼金システムの一因?)。
一方で、そういう活動に批判的な立場の若手は、書道のアート市場を作る取り組みを行い、ART SHODOと言った具体的な成果を出す団体も生まれています。




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アート市場で評価のある書家

作家名 生没  公的勲章等 所属
井上 有一 1916年-1985年 なし なし
榊 莫山 1926年-2010年 なし なし
篠田 桃紅 1913年-2021年 なし なし

アート市場で評価の高い書家は、上記3名ではないかと思います。
書道関係者のみならず、一般層でも名前が知られていると思います。
実は、書道関係の公的な役職も受賞もありません。

公的な受賞を持つ書家

作家名 生没 公的勲章等 所属
村上 三島 1912年-2005年 文化功労者、文化勲章 日本芸術院会員
杉岡 華邨 1913年-2012年 文化功労者、文化勲章 日本芸術院会員
小林 斗盦 1916年-2007年 文化勲章 日本藝術院会員
高木 聖鶴 1923年-2017年 文化功労者、文化勲章
古谷蒼韻 1924年-2018年 文化功労者 日本芸術院会員
日比野光鳳 1928年- 文化功労者 日本芸術院会員
尾崎 邑鵬 1924年- 文化功労者
小山 やす子 1924年-2019年 文化功労者
井茂 圭洞 1936年- 文化功労者 日本藝術院会員
黒田 賢一 1947年 日本藝術院会員
髙木 聖雨 1949年- 日本藝術院会員
星 弘道 1944年- 日本藝術院会員

一方、公的な勲章等の受賞歴を持つ書家はこんなにいます。
たぶん、一般人での認知度はゼロではないでしょうか?
Wikipediaがない書家さんもいます。
また、近年、日本藝術院会員で文化功労賞を受賞していない人はいません。
つまり、実質「日本藝術院会員=文化功労賞」確定です。
アートとしての市場価値を高める書道の創作活動と公的勲章を得るためのロビー活動は別だということがわかります。

だいたい文化庁が悪い、日展が悪い説

公的勲章等を得ている人は、基本的に「日展」を経由しています。
日展は日本最高峰の権威のある公募展ですが、中身といえば、応募数の75%以上が書道という偏った状態です。
しかし、評価を得られるかどうかわからないアート市場で勝負するより、一定数、確実にもらえる公的勲章等を目指す傾向にあります。
日展で受賞して日展作家になっても作品は売れません。
でも、書道には日展作家になりたい人がいるため、日展作家になり、審査員になると指導を受けたい方が増えたり、作品が売れたりします。
つまり、日本のアートの発展にプラスにならない内輪の競争を文化庁主導で行った結果のように見えます。
文化庁は日本の文化発展のためになるような仕事を増やしてもらえるといいなと思います。


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