日展不正について質問(予算委員会第四分科会)1

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時間がない人は赤字だけ読んでね

注目度は低いですが平成27年3月10日(2015年)に行われた予算委員会 第四分科会で

日展不正について緒方林太郎衆議院議員(民主党・北九州)が質問をされたので内容を掲載します。

時間がない人は赤字だけ読めばだいたいわかると思います(私のピックアップですけどね(笑))。

委員会は、日展の不正審査や金銭授受が実質行われているという前提で質問が進みます。

ガス抜きなのかもしれませんが、ないよりはマシですね。

では、委員会の様子をお読みください。

動画は衆議院インターネット審議中継より「緒方林太郎」のリンクをクリックしてください。




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昭和30年代、不正で社団法人に格下げ、ずっと怪しい

○緒方分科員 民主党、緒方林太郎でございます。

大臣、本当にきょうは長丁場、お疲れさまでございます。

きょうは、芸術界の話について、大臣と三十分議論をさせていただければと思います。

一昨年の秋ぐらいではなかったかと思いますが、朝日新聞の一面でどかんとスクープが出て、日展五科、書の篆刻の分野において入選者の配分についていわば神の手が働いている、日展顧問が入選者の配分について差配をしたというような話がありました。恐らく、これについては、いろいろな圧力とか、場合によっては金銭のやりとりとか、そういったものが働いたのだろうと思います。

まず、文化行政に携わる下村大臣として、まさに日本で有数の芸術家が集う日展、実は日展の問題については、かつてから、昭和三十年代から日展の問題点が指摘をされ、そして昭和三十年代、社会党の高津正道さんという方が国会で質問(※)をし、それをきっかけにして、国の展示会であった日展が社団法人になったとかそういった経緯があって、もう五十年以上前から、こういったちょっと怪しいことが行われているんじゃないかという話がずっと続いてきている。そして今回、こうやってばんと出た。

このことについて、文部科学大臣、いかが思われますでしょうか。

※日本芸術院第一部と日展の結びつきについて質問し、芸術院の腐敗を指摘した。

○下村国務大臣 今回のことが起きる前は、私は、知人に日展に出品している方が何人もいて、毎年行くのを楽しみにしていた展覧会であったんです。

残念ながら、今回の日展の審査において不公平な取り扱いがあったということ、これは極めて遺憾であるというふうに認識しておりまして、日展には再発防止のためしっかりと改革を進めていくことが必要であるというふうに考えておりまして、文部科学省、文化庁も、日展に対しては厳しく今対処しているところであります。

○緒方分科員 報道等を通じて、恐らくこれは下村大臣の直接の指示でかなり厳しくやっておられるなというふうに私自身も理解をしておりましたし、その姿勢に私は拍手喝采を送らせていただきたいというふうに思います。

その不祥事が生じてから、日展の方で第一次第三者委員会、第二次第三者委員会というのを設けて、第一次第三者委員会においては、日展五科においてそういった事実があった、少なくとも否定することはできないといった報告書が出て、そして、第二次の第三者委員会においては、第一科から第四科、日本画とか洋画とか彫刻とかそういった分野ですけれども、その分野についてはそういうことはなかったということで報告書が出ております。

公益社団法人を担当する内閣府にお伺いをいたしたい。この日展五科においてこういったことが行われていること、これは、公益社団法人のコンプライアンスの問題として、いかがお考えでしょうか。

○岩田政府参考人 公益法人行政を所管する内閣府といたしましては、御指摘の不正審査疑惑の発覚を受けまして、公益社団法人の日展に設置された第三者委員会の報告書を法人から提出を受け、その内容について公益認定等委員会に報告し、審議をいたしております。

このような問題が起こるということは、まさに法人内部のコンプライアンスあるいはガバナンスがきいていないということの証左だと思っております。

○緒方分科員 それで、昔からこういった話がずっと取り沙汰をされていて、日展の第二次第三者委員会においては、第一科から第四科については、そのような事実はなかったというふうに言っています。

ちょっと聞いてみて、本当かなというふうに思うわけでありますが、本当に文化庁として把握をいたしていないでしょうか、文化庁。

○有松政府参考人 お答え申し上げます。

日展の審査に関連した金品の授受に関しましては、昨年の六月に日展に関する質問に対する答弁書で述べたとおり、第一次及び第二次の第三者委員会報告書において記載があるほかのものについては、承知しているものはございません

芸術腐敗を描いた小説「蒼茫」で芸術院会員の値段1億円

○緒方分科員 承知しているものがないということでありました。

実は、直木賞をとられた黒川博行さんという方がおられます。二〇〇〇年前後だと思いますけれども、この方が書かれた小説で「蒼煌」という名前の本があります。これは、日本芸術院会員の会員選考について書かれた、一応フィクションと言われている本でありますが、かなりビビッドです。ぜひ大臣、お薦めをいたします。

その本の売り込みの帯のところには、先生、一億まかなあかんのでっせというふうに書いてある。これは日本芸術院会員の会員選考について書かれた本でありますが、しかも、舞台が日本画。そして、どうも、この業界に詳しい人に話を聞いてみますと、そこに出てくる人物というのは、フィクションでありつつも、大体、対比して、これは誰だな、これはどの組織だなというのがわかるようになっているというぐらい、フィクションと言いつつも、限りなくノンフィクションに近い、そういう本がございます。結構なベストセラーだったと記憶をいたしております。

今、一科から四科については承知しているものはないということですので、今後とも絶対にそういうことがないのだ、自分が文化行政に携わり、そして、これから下村大臣も、未来永劫、大臣をやっているわけではありませんから、自分のときに、そういったことが絶対起こらないという道筋を自分がつくるんだというその強い決意、大臣からお願いいたします。

○下村国務大臣 その本については、時間があればぜひ読んでみたいと思います。

まず、日展でありますが、昨年七月に、外部有識者の意見も聞きながら改革方策を取りまとめておりまして、文科省としては、この改革方策が着実に実行されれば、必要な改善が図られるというふうに受けとめております。

日展においては、この改革方策に基づき、組織運営や審査体制等についての改革が進められてきたものと承知をしており、現在は、これまでの改革への取り組みについて、その実効性を確保する観点から、自己点検をしているところであるというふうに聞いております。

文科省としては、日展に対し、この自己点検の結果について随時報告を求め、その結果を踏まえた今後の日展の対応について確認し、日展が継続して改革に本当に取り組んでいるかどうか、そして国民に信頼される組織となっているかどうか、この改革の実現を引き続きしっかりフォローアップをしながらうみを出す、そういう決意で対処してまいりたいと思います。

外部委員の結論を内部調査で否定→法人ガバナンスない

○緒方分科員 少し時間を、時計をもう少し戻してみて、この第一次第三者委員会、第二次第三者委員会の結論が出て、そして、その後それで方向が進んでいくのかなと思っておりましたら、昨年の四月に日展が内部調査委員会というのをつくって、そして、この内部調査委員会は非常に不思議でありまして、誰がメンバーなのか、何のミッションを持って何をやったのかということも全くわからない、けれども、内部調査委員会を行った結果として、日展のウエブサイトにぽろっと、日展五科の入選者の配分において日展顧問の関与はなかったというような報告が出たことがありました。

その後すぐに消されましたけれども、これは恐らく、内閣府か文部科学省かどちらかから、これはけしからぬということで、何らかの話が行ったんだろうと思います。

しかし、大臣も非常に強い姿勢を示しておられて、そして、非常に公平な第一次、第二次の第三者委員会で決まったことを、内部の全く不透明な委員会でそれを覆そうという取り組みは実際にあったわけです

そういったことが行われていることについて、もう一度内閣府にお伺いします。公益法人のコンプライアンスの観点から問題があるとお考えになりませんか。

○岩田政府参考人 公益法人は、一般法人法等の規定に基づきまして、法人の理事会や監事が自主的、自律的に法人運営を行うということにより、法人みずからのガバナンスを確保することが求められております。

この点、御指摘の不正審査疑惑の解明と再発防止のために理事会決定を経て設置された外部有識者で構成される第三者委員会の結論を、いわば朝令暮改的に内部の調査委員会で覆すような動きがあったということは、全体として、法人のガバナンス(統治)が適切に確保されていなかったのではないかというふうに我々は認識してございます。

このため、平成二十六年八月八日付で、公益認定等委員会から日展に対しまして、公益認定法に基づく報告を求めております。その結果、日展からは、第三者委員会とは別にこのような調査委員会を設けてその報告書を承認したということは誤りであったというふうな報告を受け、また、反省しているとの報告を受けてございます。

今後、日展が、このような外部有識者の意見を踏まえ作成した改革方策を着実に実行され、国民から信頼される組織になるように期待しているところでございます。




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下村大臣を評価、今後も強い姿勢で!

○緒方分科員 まさにこの内部調査委員会というのは何かというと、身内の先生かばいなんですよね。身内の偉い先生をかばう、そのために中でいろいろな方が動いて、その結果として、非常に不透明な形でこういったことが行われた。恐らく、組織の内部のことは私はわかりませんけれども、内部のいろいろな問題というのはまだまだ根が深いなというふうに感じたところであります。

下村大臣は、うみを出す、うみがあるのであればうみを出し切るまでやり切るんだという強い決意を述べておられました。答弁を求めることはいたしませんが、この件について、大臣は本当に一生懸命頑張っておられると思いますし、これからも強い姿勢で臨んでいただければとお願いをさせていただきたいと思います。

そして、この日展で改革案が出た後でありますが、もう一度繰り返しますが、これは日展五科、書の分野での篆刻の世界で話が始まったものであります。ということは、やはり、書ひいては篆刻の分野での改革の実施については、細心の注意を払ってやるべきだというふうに私は思います。

そして、改革委員会の報告書の中には、基本的に審査は二人以上でやるべきということが書いてありました。しかしながら、昨年の日展におきましては、書の分野におきまして、篆刻の専門家というのはやはり一人でやったというふうに聞いています。やはり一人でやるというのがいろいろな意味で問題があるから、二人でやってくれということだったんですが、日展の説明によれば、それは、書全体の審査員が二十人おられて、その二十人でみんなで見ているから、だからいいんだというような、そんなお話だったと記憶をいたしております。

しかし、書の専門の方に聞いてみると、書でも仮名とか漢字とかいろいろあるわけですが、そういった分野を専門にしておられる方が、篆刻といういわば非常に技術性の高い、そして特殊性の高い分野のものを本当に正しく判断できるかといえば、それはちょっと怪しいんじゃないかというのが書の世界の方のお話でありました。

そう思うときに、今回、改革案というのは十分に実施をされていないんじゃないか、やはり一人で判断をするような体制を維持してしまったんじゃないか、改革案が十分に実行されていないんじゃないかというふうに思うわけですが、文化庁、いかがですか。

不正発覚の篆刻は篆刻専門が複数で審査すべき

○有松政府参考人 お答え申し上げます。

日展の書の第五科は、漢字、仮名、調和体、篆刻の四つの部門から構成されておるものでございますが、篆刻部門につきましては、その専門性を尊重するという趣旨から、従前は、出品作品を特選候補、入選候補及び落選に分類する最初の段階におきましては、篆刻の審査員一名、一人で審査を行っていたという状況がございました。こうしますと、落選と評価された作品については、篆刻以外の審査員が見ないということになってしまいます

しかしながら、こうした一人の審査員の意向が大きく影響するということから生じる弊害を除去して審査の透明性を確保するという観点から、昨年七月に取りまとめられた日展改革案につきまして、第五科、書の審査につきましては、「篆刻は出品数が少ないため、その審査員について複数名を選任することは難しいので、今後は篆刻の審査は最初から、漢字、仮名、調和体部門の審査員全員で審査を行うものとする。」というものでございます。

そして、この改革案に沿いまして、今年度の審査につきましては、篆刻部門の審査についても、他の部門と同様に全ての段階において審査員全員で実施されたもの、改革案のとおりに実施されたものというふうに承知をしております。

なお、書における各部門の審査員をどのような人数で構成することが適切かということにつきましては、こうした今年度の審査の経験も踏まえながら、今後、日展において検討し、必要に応じてさらに改善に取り組まれることが望ましいというふうに考えております。

日展の文化庁の後援は復活は国民理解と改革次第

○緒方分科員 きっとそういう答弁だろうなと思っていましたが、しかし、審査員は書だけで二十人いるんですよね。篆刻を専門としている人間が少ないということでありましたが、二十の一というのと二十の二というのは、ほかの仮名とか漢字とか調和体とか、そういったものにそれほど大きく影響するわけではないわけでありまして、この分野で問題が起きたから今こんなに日展とかそういったものがもめているわけでありまして、やはりここは複数名を確保するようにというのが正しいというふうに思います。

これはもう答弁は求めませんので、私の趣旨を酌んでいただいて、これからまた日展側とお話をいただければというふうに思います。

そして、その後、日展については、文部科学大臣賞をこれまでずっと出してきて、その問題が起きてから出ていないわけでありますし、文部科学省の後援もついていないということであります。

これについてですけれども、大臣として、先ほど答弁があったものの繰り返しになるかもしれませんが、どのような事態になったら、もう一度自分としても、文部科学省の後援を出し、自分の名前で賞を出してもいい、そういう決裁をおろすんだというふうにお思いですか、大臣。

○下村国務大臣 御指摘の文部科学大臣賞の交付、それから、これは文化庁の後援名義でありますが、この使用の許可につきましては、日展から申請が行われれば、その時点において、日展における改革の状況を見きわめて検討したいと思います。

いずれにしても、日展が継続して改革に取り組み、国民に理解される組織に生まれ変わったと確認できるまでは、文部科学大臣賞の交付及び文化庁後援名義使用の許可をすることは、これは適切でないというふうに考えております。

日展は会期など優遇されてない?→会期はルール範囲内

○緒方分科員 その観点からですが、日展というのは、国立新美術館、乃木坂のところにあります、あそこで行われていますが、結構優遇されているなという感じがします、ほかの団体と比べて。ほかの団体というのは、通常、大体十日とか二週間弱だったと思いますけれども、それぐらいの期間でいろいろな展示会が来るわけですが、日展だけは特別に長いんですね。

仮に改革が進んでいないとするのであれば、それは将来の話ですけれども、国立新美術館の使用の状況においてこういった日展に対して特別な優遇措置を与えていること、それも考え直すということもあっていいんじゃないかなと思いますけれども、これはなかなか答弁は難しいと思いますが、大臣、いかがですか。では、文化庁、いかがですか。

○有松政府参考人 お答え申し上げます。

国立新美術館は、美術に関する新たな創作活動の展開ですとか芸術家の育成等を支援して、我が国の美術創造活動の活性化を推進するという観点から、全国的な活動を行っている美術団体などに対して展覧会の会場を提供しているものでございます。

美術団体等の展覧会会場の使用につきましては、美術団体等が計画的に活動を行えるようということで、五年間の使用を一括して決定

しております。現在、平成二十八年度までの使用の日程は決定をしているところでございます。

この使用の規定、募集要項というのがございますが、その募集要項上、上限が六週間というふうになっておりますので、その上限の範囲内で、日展の使用についても、さまざまな美術団体と同様に、団体の希望を踏まえて決定をしているところでございます。

二十八年度まで決定しておりますので、二十九年度以降のものについては、今後、応募に応じて、それから決定するということでございますけれども、引き続き、我が国の美術創造活動の活性化を推進するために、美術団体が計画的に使用できるというような円滑な運営に努めてまいりたいというふうに思っております。

日展の公益法人取り消ししない?→しない

○緒方分科員 では、日展の件についてですけれども、内閣府からもう一言。

こういったいろいろごたごたがありました。今、改革の途中だと思います。公益法人を所掌する内閣府として、やはりコンプライアンスがきいていない組織が公益社団法人でい続けることというのは、これはなかなか国民の理解も得られないだろうというふうに思います。

今後の方針について、一言述べていただければと思います。

○岩田政府参考人 今回の日展における不正審査疑惑の発生は、法人本来の目的である公益目的事業に対する信頼を失うということだけでなく、あるいはこれは法人運営のガバナンス、コンプライアンスの欠如によるものであったと認識をしてございます。

内閣府といたしましては、まずは公益法人制度改革の趣旨に鑑みまして、法人、日展の側の自主的、自律的な活動と、それを支える法人みずからのガバナンスの発揮を促進すると同時に、内閣府といたしましても、公益認定法に基づきまして、報告徴収、立入検査等の監督権限と責務を適切に行使することによりまして、適正な法人運営の確保に努めてまいりたいと存じます。

第189回国会 予算委員会第四分科会 第1号(平成27年3月10日)より

その2に続く


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