第2回 新日展「応募展数は微減」→書500点 5% 600万円ダウン
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日展に比べるとオリンピックエンブレム問題はすごすぎた
2015年10月18日に平成27年度 第2回新日展の審査結果の発表が行われました。
日展不正疑惑の直後の注目された2014年改組 第1回 新日展に比べて、静かな感じです。
2013年に篆刻部門で不正でメディアにも取り上げられましたが、
今年のオリンピックエンブレム問題を経験すると、日展の不正なんて世間はもう忘れてますね。
また、どの分野も似たようなことが常識として業界を縛っていることも理解できました。
(オリンピックエンブレム問題は金額が数百億というレベルのものらしいですけどね)
応募前年-500点 5%ダウン 微減?
さて、「書」の第5科の結果は既に発表になっているので簡単に比較してみます。
応募点数 8,717(▲483 昨年比94.75%)
入選点数 952(+9 昨年比100.95%)
新人入選 226(▲47 昨年比82.78%)
【2015年 第2回 改組 新日展 入選率】
第1科 日本画 |
第2科 洋画 |
第3科 彫刻 |
第4科 工芸美術 |
第5科 書 |
合計 | |
応募点数 | 452 | 1,967 | 147 | 724 | 8,717 | 12,007 |
入選点数 | 199 | 587 | 100 | 430 | 952 | 2,268 |
新入選数 | 20 | 65 | 7 | 36 | 226 | 355 |
入選率 | 44.0% | 29.8% | 68.0 | 59.4% | 10.9% | 18.9% |
新人シェア | 10.1% | 11.1% | 7.0 | 8.4% | 23.7% | 15.7% |
野次馬として、最も気になるのは応募点数です。
日展不正問題発覚前の2013年(平成25年)からの推移を見ますと
10,229→9200(▲1029)→8717(▲1512) ※( )内は2013年との比較した点数差
2015年と2013年を比較すると応募点数 85.2%と下降線をたどっています。
【日展第5科 書の応募状況の推移】
2013年 平成25年 |
2014年 平成26年 |
2015年 平成27年 |
|
応募点数 | 10,229 | 9,200 | 8,717 |
入選点数 | 974 | 943 | 952 |
新入選数 | 156 | 273 | 226 |
入選率 | 9.5% | 10.3% | 10.9% |
新人シェア | 16.0% | 29.0% | 23.7% |
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新人比率が最も高いのは「書」
第1回、第2回を傾向を見ると、新人の入選割合が日展不正前より上がることが傾向として出ています。
新人さんにはかなり門戸が広がった感じがしますね。
この傾向から、来年は新人さんが多く出してくるとかあるのかもしれませんが
審査が厳密になったことで、常連が出さなくなって新人さんが増えただけとか…
こういう数値は、是非 内部資料を見てみたいですね。
審査所感からは「微減」と強気のコメント
第5科 書の審査所感は、審査主任 黒田賢一氏(正筆会理事長,読売書法会常任理事,日展理事)でした。
改組新第2回日展である今回も、より公平、公正、透明性のある審査を念頭に、外部3名を含む20名の審査員で臨みました。
応募展数は微減とは言え8700点を越え、入選率は1割強と、第1回展同様、厳しいものとなりました。
審査では、1審から4審、5審と1作1作を丁寧かつ慎重に鑑別、全員の合議の上で、「古典・古筆を基に格調の高いもの」「線質、リズム感等に優れたもの」「新鮮な息吹を感じさせるもの」等々、様々な美的要素をバランスよく備えた作品を選出いたしました。
気になったのは「微減」という言葉です。
書部門だけで利益600万マイナス
既に上述したように、約500点5%以上の昨年比割れの状態です。
日展の出品料は12000円なので▲582万円の売上マイナスです。
正直、この500点は、残念ながら早々に落選する作品たちです。
つまり、売上≒利益。利益に直接▲600万円が影響します。
以前もブログで書いたように、日展は書道の出品料だけで収入の3割を占めますので
参照 芸大にない”書道”が国内芸術最高峰「日展」を支えている実態!
出品料を1万円→1万2000円に20%アップしているので余裕なのかもしれませんが
値上げ前の2013年と比較して▲15%になので、このペースだと2016年に値上げ分を相殺です。
また、気になるのは日展の下部組織の読売展も応募点数がどんどん減っていることです。
日展の下部組織 読売書法展の出品数減少も止まらない
読売書法展の応募点数を見てみると以下の様な推移です。
【公募・会友作品の推移】
28回(2011年)20,759点
29回(2012年)20,347点(前年比 98.01%)
30回(2013年)19,390点(前年比 95.29%)
31回(2014年)18,087点(前年比 93.28%)
32回(2015年)17,393点(前年比 96.16%)
33回(2016年)16,664点(前年比 95.81%)
34回(2017年)16,086点(前年比 96.53% 2011年比 77.48%)
見てわかるように読売書法展は応募数減少に歯止めがかかっていません。
読売書法展と日展の応募数の推移を比較
日展と実質下部組織にあたる読売書法展の応募数の推移をグラフ化してみました。
2011年の応募数を100として応募数の減少を比較すると両者とも大きな下落がみられます。
両者とも主力商品の書において、5年で20%近く下落をしていますので深刻です。
50代以上の再挑戦促進と新機軸の打ち出しを
毎日展の推移は安定していますが、読売→毎日に移行ならカニバリしてるだけなので
毎日も余裕はないと思います。
書道人口は
現役-リタイア+再チャレンジ+新規(大人子供含む)
なので、「再チャレンジ+新規(大人子供含む)」を増やす方策をしないといけません。
現在は、再チャレンジが、子育てに一段落ついた書道経験のある50代以上。
新規は一部大人といっても子供中心になると思います。
再挑戦組は、長期継続してもらえる可能性があるので確実に増やしたいところです。
新規は、子供中心ですが少子化&習い事の多様化のためジリ貧でしょう。
大人向けの初心者向けの何かほしいな
やはり、王道で母数の多い未経験の大人へのアプローチが残された市場かと思います。
ただ、書道未経験で今の書道を習いたいかと言われたら、かなりハードルは上がります。
美文字で推すのもアリですが、そもそも普段手書きが必要じゃないですよね。
「ホワイトボード美文字」とかなら講習会程度なら…男性より女性でしょ。
高校生のパフォーマンス書道は定着したみたいですが、
あんな感じで、書道が上手くなくても、それなりにやってる感じになるやつって
なんかないですかねー。
もちろん、私は和様を推しますが、さすがに、数千人レベルにはできないしなー。
何か新機軸を考えていることを祈りたいです。
そうしないと本当に全体が縮小しちゃいます
参考資料
【読売書法展と日展の比較】
年 | 読売 | 日展 | ||
応募数 | 2011年比 | 応募数 | 2011年比 | |
2011年 | 20,759 | 10,346 | ||
2012年 | 20,347 | 98.02% | 10,385 | 100.38% |
2013年 | 19,390 | 93.41% | 10229 | 98.87% |
2014年 | 18,087 | 87.13% | 9200 | 88.92% |
2015年 | 17,393 | 83.79% | 8717 | 84.25% |
【2014年 第1回 改組 新日展 入選率】
第1科日本画 | 第2科洋画 | 第3科彫刻 | 第4科工芸美術 | 第5科書 | 合計 | |
応募点数 | 491 | 1,996 | 155 | 796 | 9,200 | 12,638 |
入選点数 | 205 | 640 | 104 | 396 | 943 | 2,288 |
新入選数 | 28 | 66 | 8 | 24 | 273 | 399 |
入選率 | 41.8% | 32.1% | 67.1% | 49.7% | 10.3% | 18.1% |
新人シェア | 13.7% | 10.3% | 7.7% | 6.1% | 29.0% | 17.4% |
【2013年 改組 日展 入選率】
第1科日本画 | 第2科洋画 | 第3科彫刻 | 第4科工芸美術 | 第5科書 | 合計 | |
応募点数 | 527 | 2,136 | 171 | 856 | 10,229 | 13,919 |
入選点数 | 204 | 564 | 120 | 496 | 974 | 2,358 |
新入選数 | 22 | 65 | 12 | 46 | 156 | 301 |
入選率 | 38.7% | 26.4% | 70.2% | 57.9% | 9.5% | 16.9% |
新人シェア | 10.8% | 11.5% | 10.0% | 9.3% | 16.0% | 12.8% |
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