日展は第1回から腐敗?書家の座談会①


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昭和37年(1963年)の日展特集を発見

外国人のお客さんが、江戸時代の和様書籍を見せるとテンションが上がることがあるので古本屋さんで往来物を探していたら、こんな本を見つけました。

五禾書房発行「月刊 書道」第8巻 第12号

昭和37年12月15日 五禾書房発行「月刊 書道」第8巻 第12号です。
日展特集と書いてあります。



昭和37年ってどんな時代?

昭和37年にはこんなことがありました。
・大正製薬「リポビタンD」発売
・院内交渉団体公明会(後の公明党)が発足
・テレビ受信契約者が1000万突破し普及率48.5%
・ジャニーズ事務所創業
・女優マリリン・モンロー死亡
・ファイティング原田 世界フライ級王者
・視聴率調査会社ビデオリサーチ設立
・「キユーピー3分クッキング」放送開始
・中尾ミエ「可愛いベイビー」ヒット
私は生まれていませんが、なんとなく時代を感じますね。

日展の流れ(たぶんネット上で最もわかりやすい)

ちなみに、現在の日展になる経緯は非常に複雑で、まとめるとこんな感じです。

文部省美術展覧会(初期文展):1907年~1918年
帝国美術院展覧会(帝展):1919年~1935年
文部省美術展覧会(新文展):1936年~1944年
【第1期 日展】日本美術展覧会(日展):1946年(昭和21年)~1957年(昭和32年 全13回)
(参考)書道が日展採用(第5科):1948年(昭和23年 第5回から)
【第2期 日展】社団法人日展:1958年(昭和33年)~1968年(昭和43年 全11回)
【第3期 日展】改組日本美術展覧会(改組日展):1969年(昭和44年)~2013年(平成25年 全45回)
社団法人日展→公益社団法人日展:2012年(平成24年)
【第4期 日展】改組 新 日展:2014年(平成26年)~

昭和37年、すでに日展がダメっぽいんだが…

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「日展あれこれ」という対談でした。
安藤搨石、宇野雪村、江川吟舟、金子鴎亭、南不乗、真田但馬、桑原喬林子 がメンバーです。
金子鴎亭氏や宇野雪村氏らがいますから有名どころですね(私もよくわからないけどさ)。
ただ、日展系は安藤搨石氏1人だけなので、その辺は加味する必要がある座談会です。
(記事全文は最後に添付するので右クリックで保存して拡大すれば読みやすいと思います。)



桑原喬林子氏「素人芸、アマチュアが入選」

司会(桑原喬林子氏)が第5回日展の状況報告から始まります(社団法人日展 第5回のことです。)。
しかし、記事の②枚目に入ると桑原喬林子氏は
「いわゆる素人芸、アマチュアとすべき人が入選している」
「当番審査員ではない者の社中は非常に少ない。あるいは皆無という結果もでておりますが」
※審査会員は持ち回りで”審査員”を務める当番が数年に1回、回ってくる。
続いて南不乗氏
「日展が1つの利益の場になったということは、これは5、6年前から顕著になってきており(略)
それがもう結局、くるところまできたというような感じなんですね。」
「(13回も入選してると)いまさら入選の挨拶まわりはできんと…
ところが挨拶しなければ(入選が)危ういじゃないか…」
とダメ出し。※「挨拶まわり」は、審査員に入選のお礼をすることと思われる。当然、手ぶらで行かない。
第5回の段階で「5,6年前から顕著」なら、社団法人日展が始まる前からってことですよね(笑)
これは座談会全員が指摘しているのが面白いです。

唯一の日展派「派閥的な運営は以前からある」

唯一の安藤搨石氏は②後半~③最初で
「私などが挨拶まわりをせずに、今日まで入選を続けているということで、そういうことだけが行われているんじゃないということを一言日展のために弁護しておきます。」
と日展側としてフォローするも
「多少廻り持ち的な、派閥的な運営というものが現実にあるということも、また否定することもできない。これは以前からあったことで、この数年とくにひどいという現象でありますけども」
「これは必要悪といってはなんだけども、準必要悪のような現実というものをうんざりするほど毎年見聞きしているわけです。」
と、不正があることは認めています。

真田但馬氏「10年で引退し若手にチャンスを」

③ページになると具体的にお金の話などが出てきます(盛り上がりを感じます)。
真田但馬氏は
「10年やってもあまり伸びないというような人は、いいかげんに1つ引退してもらう(略)そうして若い人たちをどしどし出してもらう。」
「古い人に、一流の作家になる人はそうたくさんあるわけじゃないから、相当大量交換してしかるべきだと…古い人たちがいつまでもがんばって特選をもらおう、あるいは審査員を狙おうとしている。それはとてもできないことでね、また素質だとか、金だとか、あるいはチャンスだとか、いろんなことでむづかしいと思うんです。」
「新人選の人たちは若い人で、ぼくらから言うと、審査員のただのお弟子さんでそう力量があるとは思えない。(略)審査員が一種の利益代表みたいな形にだんだんなっていく結果だと思います。」

ひいき審査は過去の因果応報

「ことしの某審査員に、比較的そういうお弟子をもっていない審査員に聞きましたら、去年の逆の面が出たので仕方ないというような意味の発言をされました。(笑)」
「日本では書道の最高峰の展覧会であると自他共に許しているところですから、もう少し、(略)良識を持って貰わないと…。」
昭和37年に“(笑)”という活字表現があったんですね(笑)

その2に続く

五禾書房発行「月刊 書道」第8巻 第12号 五禾書房発行「月刊 書道」第8巻 第12号 五禾書房発行「月刊 書道」日展③

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