20代30代は和様傾向が強い「サイレント・マジョリティー」
リンクスの手がける書展
先日、東京銀座画廊美術館で行われた「書en展」に行ってきました。
この書展は、競書雑誌の印刷など手がけるリンクスという会社が主催です。
「書en展」の目玉企画は、採用されたら実際の製品になるラベルのコンペです。
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フォトブックも最近始めたリンクス(笑)
写真は「書en展」代表の作村さんですが、最近、リンクスでフォトブックを始めたらしく
色々と説明をしてくれました。
フォトブックは無線とじが多いのですが、その場合には、本の谷間の画像は見れません。
しかし、このフォトブックは、絵本のように180度開放されます。
そのため、大きな作品を平面で見せられるというアピールのために
鉄オタク向けの電車1車両の写真を載せているようです。
もし、興味がある方は、リンクスに問い合わせして下さい(笑)
20代30代の若手作品 16/40が読める書
今回40点の展示中(賛助作品含む)、16点が日本語の現代文で、読める作品でした。
こんなに高い比率の書展は初めてです(現代文を集めた書展でも、半数は読めないので)。
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「書道=漢文」から母国語「日本語」の書道へ
サイレント・マジョリティ(英: silent majority)とは、「物言わぬ多数派」、「静かな多数派」という意味。積極的な発言行為をしないが大多数である勢力のこと。対義語はノイジー・マイノリティ(「声高な少数派」の意味)
20代30代の若い人は、最も身近な日本語の書を書きたい傾向が一定数あると感じます。
年代は不明ですが、大手書展では和様傾向の作品が増えてました。
年配のキャリアを重ねたアマチュア書家とは全く違う傾向だろうと思います。
今回、20代30代の若手だけ集めた結果、16/40点という結果をみると
若手に限れば、既存の書の傾向よりも和様傾向の潜在ニーズが大きいと想像します。
年配の方は今まで積んできたキャリアを捨てることは、かなり困難ですが、
これから学ぶ若い人は、従来の書の要素を日本語の書へ横展開する時間があります。
新しい書の定着には運や才能はもちろんですが、ボトルネックは時間だと感じます。
【経済】若手は書の師匠がいない
40点中16点が和様傾向だから「若手に和様傾向がある」といい切れない事情も考察しましょう。
若いアマチュア書家が師匠を師事できる時間的、経済的に余裕がない可能性があります。
高校以上で書道を継続する人は、しずかだったり、地味だったり、人見知りしたりする人が多く
独自性を重んじたり、積極的にチャレンジするタイプは少数です。
(書道パフォーマンスの高校生達は、卒業後、書道をしない傾向が強いそうです。)
そうなると、就職ではちょっとしんどい場合があると思います。
実際、私の同期も就職に苦労していましたし、現在も同じ傾向があると思います。
大人部門の書道の費用(最低でも30~50万円/年)を継続するのはきついです。
母国語ではない漢文は作詞できないから日本語で書く?
20代30代の和様傾向は、「書の師匠がいない→手本がない→漢文は無理!→日本語を書く」
という仕方なしの結果も想像しています。
ただ、従来の書道が「母国語ではない」ことを認識するきっかけになるのかもしれません。
(書道教室を運営する私がいうのも変ですが)師匠がいないから自分の書を模索できます。
そして、模索する中で「和様の書家はいない今がチャンス」と考える人が出るかもしれません。
更にその中の100人中1人くらいは、食えるアーティストになれる可能性があります。
昭和書道史 金子鴎亭が近代詩文を志したのは27歳!
「5書体できて書のスタートライン」と刷り込まれている人は、
超若手の30代で自分の書風、作風を絞り込むという考えにたどり着かないかもしれません。
さきほど、「ボトルネックは時間」と書きました。
昭和の大手書展の成り立ちなど書道史を調べてみて下さい。
現在の大手書展の立ち上げメンバーは40代が中心です。
「読める書」近代詩文書の創始者 金子鴎亭が「書之研究」に新調和体論を掲載した時は27歳です。
さらに、金子鴎亭氏は95歳まで生きております。
早期着手&長寿という時間があった結果、現在の創元書道会や近代詩文書があるのです。
20代でチャレンジして駄目なら従来の書に戻ればいい
今の20代30代の人は、どんどんチャレンジすべきです!(というか早くした方がいい)
40代以上の人は、20代30代を支える側にならないといけないような年齢なんです。
50代で「次世代を担う若手」というのでは、書道業界が縮小しちゃいます。
50代以上の方は明治以降の唐様の書道文化を保守し、若手を技術的に支えてほしいです。
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