文科省、文化庁、東京都の後援名義の取得が詰んだ話

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後援名義は最初から準備をしないと詰む

美術展やイベントのポスターの下部に「○○後援」という記載があると思います。
一般の方で、それを気にしている人は、ほとんどいないと思います。
でも、特に、私のような新スタイルで、今から成長させようとしている団体の場合、政府クラスの後援名義がないと話を聞いてもらえない組織は意外と多いのです(日本人の担当がいる大企業は、それを便利なフィルタとして使っている)。
私は、豊島区の後援名義を取得しておりますが、政府レベルの後援名義を取得しようと調べた結果、現時点で詰んだ話を書きたいと思います。

文化庁「都道府県で後援を取ってから」

文化庁の後援名義の基準は非公開です。
今回、文化庁の後援名義の申請の要件をメールで取得したので公開します。
(別に公開して悪いものでもなんでもありません。ただし、変更されることはあるので自分で確認してね!)

文化庁では、原則、下記①~⑤の要件等を満たした行事に後援名義を出しておりますので、いずれの要件も満たしているようでしたら、企画書を当方へご郵送ください。
【主な要件】
①行事等が全国規模であり、かつ事業内容が文化の振興につながるもの
②後援を受けようとする行事を継続して5回以上実施していること
③現存する個人や個別の流派・団体の作品の発表及び美術館等が行う展覧会ではないこと
④舞台公演ではないこと
(文化庁では、フェスティバル、シンポジウム、コンクール等に後援を出しています。)
都道府県の後援名義の使用許可を受けていること
※その他、主催者要件(営利会社が主催する場合は、実行委員会を組織していただく必要があります。)や営利を主たる目的としていないか、などの要件もありますので、①~⑤を満たしている場合でも、企画書を確認させていただいた結果、後援名義をお出しできない場合もあります。

「和様の書展」は継続して5回以上実施している条件はクリアしています。
しかし、赤字の「都道府県の後援名義の使用許可」、東京都内開催の場合、大変ハードルが高いのです。
逆に言えば、「文化庁の後援名義を取得=都道府県の後援名義を取得」ということなのです。

「東京都」の後援名義が厳しい

(参照)東京都の後援名義申請 リンク

ここでは大したことが書いていませんが、実際に問い合わせをすると細かい基準が設けられています。
東京都の担当に聞いた内容を簡単に書くと(公益性とか非営利などの当然のことは割愛)
・継続回数3回以上
・展示 100人以上(100点ではない)
・公募率 50%以上(半数以上が公募作品)
大前提として、「認可しない権限」を行使できるのが役所担当の権限になっているようです。




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主催団体が変わったら継続回数「0」image

「和様の書展」は、第6回まで「うどよし書道教室」が主催していました。
そして、第7回から「わよう書道会」が主催となりました。
この背景は「うどよし書道教室」が、個人団体の書展にみえるため、公益性の問題から後援が出ないと東京都からアドバイスをいただいたからです。
これが、落とし穴でした。
最初、耳を疑いましたが、なんと、団体名が変わったので、積み重ねた実績がゼロになりました。
文化庁の『継続5回」は、団体名が変更されても、実態が一緒なら問題ないそうです。

調べると東京都が最も厳しい

ちなみに神奈川県の担当に電話して確認したのですが、回数要件や応募点数といった基準はありませんでした。
つまり、全く審査の基準が違うものを申請要件として使っているのです(実際に、審査では落ちるのかもしれませんけども)。
文化庁が「都道府県の後援名義が必須」という話なので、開催予定地の東京都の後援名義を取得しようとしているだけです。
文化庁の後援名義が欲しいから東京都に申請するって、東京都の担当からしたら申請数が増えるので迷惑だと思います。
都道府県の後援名義の申請数を無駄に増やし、事務作業を増加させている可能性もあります(税金の無駄遣い?)。

都道府県ごとの異なる基準が文化庁の申請基準って不公平

東京都の担当も「東京都の新規後援名義は難しい。」と話していました。
新規が難しいってどういうことなの?って思いました。
話を総合すると、既得団体は、そのまま継続が可能なのですが、新規には厳しいみたいです。
文化庁が日展の不正審査問題の後、後援名義を1年後に復活させたように、審査結果に対して御礼金制度の存在を認知しながら後援名義を出しているのは、地道に申請をしていると悲しくなります。
また、国会関連の獣医学部新設のニュースで、元文科省事務次官が「行政が歪められた」「不公平」と主張しているのを見ている国民からしたら、都道府県ごとに基準が異なる後援名義が、文化庁への後援名義取得申請の重要な基準になっていることは大変不公平だと思います。
しかも、新規の基準が更新時に要求されないのはダブルスタンダード(2重基準)です。



文科省…お前もか…心が折れた

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ここで、気分を切り替え、文化庁がダメでも文科省も後援名義があります!
文科省の後援名義の基準は、

・継続して3回以上の開催実績のあるものであること。

ということで、文化庁の「継続5回要件」を満たしていたので、文科省の「3回以上」の要件は満たしているため4日ほどかけて申請書を提出しました。
提出1ヶ月後、電話で「団体名が途中で変わっているため、継続3回の要件を満たしてないので却下です」とのこと。
心が折れました。
現在も国会で獣医学部新設の加計学園問題をやっていますが、加計学園は新設に12年かかったそうです。
後援名義ですら、これなので、獣医学部の新設なんてとてつもない作業なんだろうなと同情します。
(50年以上新設されてない学部なので大博打、加計学園しか手を上げないのはわかります。)

文科省後援を2回目から取得した書展もあるimage1

しかし、どんなところにも例外措置と言うのはあります。
全国いのちの食育書道展

ここは、第2回目から、文科省の後援が出ています。
更に、文部科学大臣賞も出ているのです。
後援名義より文部科学大臣賞の方が遥かにハードルが高い基準です。
私はこの団体に電話をして聞いたら「力のある先生がいて、やってくれた。」とのことです。
(誤解してほしくないですが、この団体を批判してません。政治力の差も実力です。)

文化庁「申請は全て許可」の詭弁

文化庁の話に戻ります。
2013年の日展の不正審査問題で、当時の民主党 大久保 勉氏から以下のような質問をしています。
そして、その後が答え(安倍首相名義)になります。

第187回国会(臨時会)質問主意書 質問第九〇号
「日本芸術院及び公益社団法人日展の改革の進展に関する質問主意書」(平成二十六年十一月十八日)

六 芸術団体が開催する芸術展につき、文部科学省に対して、後援又は文部科学大臣賞の申込みがされることがある。過去十年間で、何件の申込みがあり、何件を許可したのか、明らかにされたい。また、申込みを拒否したことがある場合、当該芸術団体にその理由を伝えているか、併せて明らかにされたい。

答弁書 答弁書第九〇号 内閣参質一八七第九〇号 平成二十六年十一月二十五日 内閣総理大臣 安倍 晋三

六について
平成十六年度から平成二十五年度までの十年間において、芸術団体が開催する展覧会に係る文化庁の後援名義の使用のための申請については、文化庁において、八百九十五件を受理し、その全てを許可している。また、同期間の同展覧会に係る文部科学大臣賞の交付の申請については、文化庁において、千百三十二件を受理し、その全てを許可している。

赤字の部分を見てください。
議員「後援名義、文部科学大臣賞の申し込みが何件あって、何件許可したか?」
政府(文科省)「申請については、全てを許可している」
普通に、文章を読むと、上記の文科省/文化庁の要件を満たした場合、すべて後援名義を出していると言っていると思いますよね?
官僚の作る資料は、本当に怖いんです。

「申請の可否」申請で合格したら「申請」できる→そりゃ100%通過するわ…

文化庁からいただいたメールの最後に申請の流れがありました。

<申請の流れ>
1.新規の文化庁後援名義の申請については、まず行事の企画書を当方へご郵送ください。

2.企画内容を確認させていただいたのちに、当方の担当者から後援名義申請の可否の御連絡をいたします。

3.申請が可能である事業の場合、正式な申請様式一式(申請書類作成の手引き等)をお送りいたします。

この流れの存在の意味がわかりませんでしたが、この質問主意書があれば意味がわかります。

<申請の流れ>
1.新規の文化庁後援名義の申請については、まず行事の企画書を当方へご郵送ください。←「申請」とは言ってない

2.企画内容を確認させていただいたのちに、当方の担当者から後援名義申請の可否の御連絡をいたします。←「申請の可否」は「申請」ではない

3.申請が可能である事業の場合、正式な申請様式一式(申請書類作成の手引き等)をお送りいたします。←申請許可したものだけ許可

ということなのです。
言葉遊びみたいですが、「申請」できるまでに「申請の可否」があるんです。
そりゃ、申請の可否で一度審査されているんだから、100%通過するでしょう!
これが日本の行政の現実です。
企業が官僚の天下りを受け入れる理由ってわかるでしょう?
こんな世界で、私なら生きていけません…。
元官僚の元国会議員さんに、この質問主意書と答弁書を見せたら「100%許可ということは、事前審査があるという理解をする」と言っていました。
じゃあ、この質問主意書と答弁書のやり取りってなんの意味があるんでしょうね、関係者のガス抜きですかね。
しかし、世の中には、この文科省から助成金詐欺する強者がいるんですから、庶民の想像を超えています。

政府レベルの後援名義がないと申請できない企業も

和様の書展の審査員のお願いをするために、数百社にアプローチをしてきました。
しかし、「政府レベルの後援名義がないと、そもそも無理」という企業が多いことに驚きました(マクドナルドの近くに日高屋を作るみたいな手法ですね)。
文化庁が都道府県の後援名義をフィルターに利用しているように、文化庁のような政府レベルの後援名義は、日本の大企業への協力要請のフィルターに利用しています(体よく断る理由に使っているだけだと思いたいですが)。
文科省、文化庁に限らず政府レベルの後援名義を取得するためには、各省庁、それぞれのハードルがあります。
しかし、どの省庁も、既存の大資本イベントが新規の基準になっています。
クールジャパンなどは1000人規模の来場者と言ったように、新規の段階では到底、難しい規模です。
(その規模だと、後援名義いらないと思うんですが、企業と交渉するために利用価値があるのでしょう。)

条件達成のため団体間で協力→同種の書展が乱立へ

5年前の私に言いたいです(笑)
私の場合、団体名義を変更したことが最大のつまづきですが、規模もかなり大きなものにしないといけません。
文化庁の事前審査「申請の可否」を通過するには、書展の場合、3桁以上の作品数が必要です。
これは、うちのような小さい作品が多い団体ですら、100点展示するなら、会場費10万円/日以上の会場を借りる必要があります。
(東京芸術劇場ならギャラリー1が最低サイズ。半切以上の通常の書展だと)
東京都の後援名義の取得のためには、公募50%が必須。
でも、純粋な公募(応募団体から審査員が出てない等)が50%なんて驚異の数字を持つ公募書展は存在しません(日本最大の毎日書展は純粋な公募率1%未満)。
ところが、東京都は、「主力団体以外=公募」なので、他団体に協力要請をすることが簡単です(もう、何がなんだかわかりませんよね(笑))。
これは、生徒の立場からすると、団体で出品し合うと、自分がその公募書展の審査員になれる可能性が広がりますが、逆に、出品回数が増えるため金銭的な負担が重くなります。
そして、コンセプトが似た団体同士で、同じような人が出し合うので、後援名義がついている書展は皆、同じとなるでしょう。
事実、政府レベルの後援がついている公募書展は、皆さんには、ぜんぶ同じに見えます。
この状態をなんとか和様は打破したいと思って取り組みましたが、一旦、心が折れたので時が来るのを待とうと思います!


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