アコム「読める書が読めない」と書道業界を皮肉?→500万再生

経営者がピンチのときに消費者金融の広告に「書道展」編

緊急事態宣言中で、私の書道教室も自粛しており、経営的には震災以上のピンチです。
(前向きにいろいろ活動はしていますので、ご心配なく)
そんなときに、youtubeに出てきた動画広告に「書道展」編の文字!
Web限定なのでテレビCMとしては流れてない模様。




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CMで書道展の作品が読めないことを皮肉

渡部篤郎さん、佐藤美希さんが出演するアコムのCM。
渡部さん「これは読めないなぁ」
佐藤さん「必要な時…」
渡部さん「えっ?読めるの?」
佐藤さん「様々なニーズに合わせて」
書道展の書道作品が読めないことを揶揄、皮肉っています。
後半に、もう1点、作品が出てきます。

実は、これ、漢字かな交じりの日本語で書かれているのです(ちょっと変なとこはあるけど割愛)。

アコム「”読める書”は読めない」

この漫画は2018年に私が作ったものですが、アコムさんが下の男の子をやっている状態ですね。
詳しく書くと、このCMは、漢字かな交じりの日本語を書く「調和体」と言われる、戦後定着した新しい書道スタイルで書かれています。
この調和体の誕生の歴史は、明治以降の書道業界が古い外国語(漢文)や古い日本語(仮名)が中心で、誰も読めないので現在の日本語を使って書く「読める書」として開発された歴史があります。
そのため、書道業界では「読める書」として認識されていますし、全員が「読める」と洗脳されています。(※)
その「読める書」が、アコムのCMで「読めない」と皮肉られているのです。
※読めない人は「勉強不足」と言われる。




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「読める書が読めない」問題は書道業界の最大の課題


実は、この「読める書が読めない(※)」は、日本の書道業界が抱える大問題です(私がやっているから誇張するわけではないです)。
添付画像は私がまとめた資料ですが、「読める書が読めない」ことが一定の話題だと理解できればOKです。
書道業界では「読める書は読める」という主張を大手メディア(ほとんどの書道団体は、新聞社の傘下の団体)等を使って、一生懸命、布教してきたのです。
※「書道作品に書かれた文字が一般人には読めない」の意味

書家も知らない近代書道史

日本の歴史教育では、古い歴史は教えるが、近・現代史はあまり教えません。
書道も同じ傾向があり、現在の書道専門誌では近代書道史は、ほとんど触れられないため
「”書道”は明治生まれの新しい文化」
「正しい筆順は存在しない」
「日本語は、言文一致運動以降に口語体で書くようになった」
「現在のひらがな(50音図)は明治33年1900年に制定」
といった江戸研究、文字史、印刷史などの他分野では共通認識となっている歴史認識が乏しい人が多数派です。
実際、今回のアコムさんのCMも、書を代筆した方が「調和体」誕生の歴史背景を知らないから「調和体」が採用されたのでしょう(この内容だと、漢文、仮名の方が自然。調和体である必然性はない)。
消費者金融というイメージが最も大事な業界のCMに、芸術業界最大ジャンルの書道業界を皮肉る結果となる「調和体」は採用しないはずです。

500万再生なのにSNSで全く話題になってない「書道展」編CM

執筆した4/19現在(アップデートは3/17)で再生数が以下のとおりです。
45秒バージョン 2,225,677再生 あれ?3-4時間の間に4,131,223 再生に…
30秒バージョン 2,240,398再生
合計すると500万再生というすごい数です。
書道展を皮肉ったCMなので、twitterで話題になっているかなと「書道 アコム」で検索しました。
悲しいことに、500万再生しているのに全く話題になっていませんでした。
これはこれで、さみしいですね。



【余談】この背景にある作品がなんだかおもしろそう

一般の人はメインになった書作品の方が好みかもしれませんが、私は、このシーンの後ろの作品が気になりました。
「安光無」と書いているのはわかりますが「アコム」なんでしょうね。
CMのメイキングとか見たいと思いました。

落款印が全く押されてないのはどうして?

最後に、作品は名前は書いているのですが、落款印が全く押されていません。
リアリティに欠けるので、どうしてなんだろうなと思いました。

2本立てらしい

このCMは2種類あるみたいで、もう1つがこちら。
こちらは調和体ではないですから、こっちの方が書道的には説得力があります。


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